本研究では、商慣習ルール変更の社会実験結果を参考に、フードチェーンにおける食品廃棄物の発生抑制ポテンシャル量を推定した。最大、現状の食品ロス発生量の約1割(40~50万トン)削減できる可能性が分かった。この削減により、これまでの余剰生産量が調整され、原材料(食品生産のための食材投入)の供給量減を通じ、日本の経済活動(総産出量)は低減する。生産活動縮小にともない環境への影響も低減されるが、その分、景気への影響が心配される。ただし、食品ロス削減による製造コスト減が製品価格に転嫁されない場合、生産効率の向上による景気へのプラスの影響が上回り、GDPは微増する可能性が示唆された。
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