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2016 年度 実施状況報告書

生物多様性保全のための規制と利用についての経済学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 26340120
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

大沼 あゆみ  慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (60203874)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード生態系サービスへの支払 / サンゴ礁 / 割引率
研究実績の概要

平成28年度は、次の3点から研究を行った。一つは、その消失が最も懸念されている生態系の1つであるサンゴ礁生態系(サンゴ礁)について、「生態系サービスへの支払」による保全の可能性を検討した。サンゴ礁の生態系サービスやその所有権の特徴を整理し、その利害関係者とその種類の多さから、サンゴ礁の保全には直接支払型よりも税・課徴金型および市場取引型の生態系サービスへの支払の方がより有望であることを示した。そして,税・課徴金型および市場取引型の生態系サービスへの支払によるサンゴ礁保全を実現するために重要となるサンゴ礁の価値評価について、その手法や課題を解説した。
また、時間を通じた費用便益分析の基礎である、割引率についての研究を行った。フランク・ラムゼイの研究を出発点に、時間選好率と社会的割引率との関係を詳しく論じた。そして、環境政策を考えるとき、こうした割引率の「最適性」を考えることと世代間衡平性が乖離する点を指摘し、環境問題重要性と課題についても包括的に論じた。さらに、こうした問題を解決する方向として導入され始めているDDR(Declining Discount Rate)と呼ばれる時間とともに低下する割引率の経済的意味を明らかにした。
これらの研究を基に、国立公園を制定する費用(機会費用)と規制の適切なバランス、およびグリーンインフラを代表に、長期的な保全における費用と便益の評価を行うための研究を進めることができると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

国立公園の規制と利用を考察するケースとして、サンゴ礁を研究している。この研究では、以前に公刊したcoral transplantationについての研究を含む、様々な側面からの保全が考えられる。サンゴ礁の保全については、多くのステークホルダーが存在していることから、利用の規制を研究するためには、陸域および海域での利用と規制を合わせて考えなければならない。2016年度は、規制を行うための諸側面と既存研究、および諸制度の導入可能性を考察し、この研究を進めることで、より効果的な保全の仕組みについて導出できると考えている。
また、まだ論文として公表および発表をしていないが、サンゴ礁保全および一般的な国立公園の経済モデルも構築過程であり、十分な分析を行うことを予定している。

今後の研究の推進方策

規制についてワシントン条約の研究を継続し、最終的な結論を導出する。現在、論文の最終段階に入っており、2017年度中に投稿できると考えている。また、国立公園については、とりわけサンゴ礁の現状の調査を行いながら適切なモデル化を進める。また、途上国の国立公園については、管理の難しさを反映した研究を継続しており、この点でも成果を出せるものと考えている。

次年度使用額が生じた理由

訪問先との調整のため、行う予定でいたサンゴ礁の調査と途上国の国立公園への出張を延期したことから。

次年度使用額の使用計画

延期したサンゴ礁およびその利用と規制実体の調査および、マレーシアでの国立公園の調査委、さらに生物多様性保全に関する海外会議出席を計画している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] 生態系サービスへの支払(PES)による サンゴ礁保全の可能性2016

    • 著者名/発表者名
      大沼あゆみ・柘植隆宏
    • 雑誌名

      生物科学

      巻: 68 ページ: 41,49

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 割引率は何を意味しどのように発展してきたか2016

    • 著者名/発表者名
      赤尾健一・大沼あゆみ・阪本浩章
    • 雑誌名

      環境経済・政策研究

      巻: 9 ページ: 1,20

    • 査読あり

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公開日: 2018-01-16  

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