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2014 年度 実施状況報告書

我国の世界遺産地域を中心としたコモンプールアプローチに基づくエコツーリズムの分析

研究課題

研究課題/領域番号 26340121
研究機関中央大学

研究代表者

薮田 雅弘  中央大学, 経済学部, 教授 (40148862)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードエコツーリズム / 世界遺産 / コモンプールアプローチ / 持続可能な地域発展 / 環境保全
研究実績の概要

本研究の目的は、わが国の世界遺産地域(遺産を含む基礎自治体)を対象に、観光発展が持続可能な状態で行われているか否かを、①観光資源を地域のコモンプール資源(共同利用資源)として把握し、②持続可能な観光管理形態としてのエコツーリズムの視点から、③関連する自治体の施策、スタンスをベースに研究し、そこから必要かつ適切な地域観光政策を提言することである。
以上の研究目的のために、平成26年度では、まず、観光市場の在り方、管理の方法をめぐって研究を行い、「観光市場の失敗と公共政策」(2015年3月)『経済学論纂』中央大学、pp29-47でまとめた。また、エコツーリズムの基本的な考え方を「エコツーリズムと環境保全」(205年5月)『環境政策の新地平』、pp119-140、岩波書店、として上梓し、そこでは、エコツーリズムの基本原則のアイデアを与え、その原則に沿った管理運営の必要性を明らかにした。一方、この原則を考慮しながら、実証研究の計画に沿って、白神山地の3町1村をすべて訪問し、各自治体担当者に対するインタビュー調査を、8月上旬に行った。この地域は、屋久島とは対照的に観光を制限してきた地域であったが、近年、緩和の方向にある。その中にあって依然として残る重要な課題である、環境保全、世界遺産保全と観光発展の両立、総じて持続可能な地域発展をどのように実現するかについて、現在、調査結果を纏めているところである。なお、観光統計データの整備、応用方法についての動向や知見を得るため、平成26年11月20日には、奈良で開催されたUNWTO(世界観光機関)のシンポジウムに参加した。
次年度は、研究計画のタイムラインに沿って、スケジュール調整を行い、効果的かつ積極的に世界遺産地域を訪問し実地調査を行うこととしたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

まず、第一に、基礎的な概念である、コモンプールアプローチからのエコツーリズムの原則に関する整理、展開とその応用に関する基礎的な研究は、2本の公刊論文を含めて、ほぼおえられたと考える。第二に、計画していた白神山地への調査を遂行できた点がある。関連4自治体との情報交換によって、各市町村の置かれた状況の相違点が明らかになり、また、青森県と秋田県のスタンスの違いも明らかになり、今後の人的交流を含め、研究に関する布石を構築できたと考える。現在、インタビュー結果の整理分析を含め、当該地域の人口、経済、社会、観光データの分析を行っており、論文にまとめる予定である。ただ、もう一つの予定調査地域であった屋久島については、日程上の都合もあり、訪問調査ができなかった。
平成27年度以降は、屋久島への訪問を含め、さらにわが国の世界遺産地域(基礎自治体)に関する実地調査のデータを収集、整理し、またデータ解析を行う準備を整える予定である。

今後の研究の推進方策

平成26年に行った、地域観光発展を考える際の基礎概念である、コモンプールアプローチからのエコツーリズムの接近、ならびにエコツーリズムの基本原則、をベースに、平成27年度は次の点を軸に進めていく。まず、①引き続きわが国の世界遺産地域(基礎自治体)の実証分析を重ねていく。エコツーリズムの基本原則に沿ってインタビューシートを作成し、現状認識、課題認識、政策手段と問題、などを明らかにしていく。特に、観光発展の意義、効果とその環境(地域資源)保全との関係を分析する。国内外(とくに豪州)の研究協力者とも情報交換しながら研究成果として学会報告、論文に纏めていく。次に、②世界遺産制度のもとでの、ガバナンスの意義、効果について併せて実証し分析する。こうした基礎的研究を進捗させ、平成28年度の総合的な(わが国すべての世界遺産地域(自治体))に向けたアンケート調査を行い、研究を纏める予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初、平成26年度には、世界遺産地域の一つである屋久島での自治体インタビュー調査も予定していた。夏季休暇中に白神山地地域と併せて調査する予定であったが、9月初旬から中旬にかけて学生引率調査(大学の海外研修制度の一環)が入りスケジュール調整ができなかった。

次年度使用額の使用計画

平成27年度は、実地調査対象として、知床(2町)をあらかじめ予定しているが、屋久島調査も併せ、スケジュールを効率的に策定し、十分な準備のもとで調査を行う予定である。特に、8月上旬、9月上旬に絞って、まず先に日程を組んでしまう予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち謝辞記載あり 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 観光市場の失敗と公共政策2015

    • 著者名/発表者名
      薮田雅弘
    • 雑誌名

      経済学論纂、中央大学

      巻: 55 ページ: 29-47

    • 謝辞記載あり
  • [図書] 環境政策の新地平 第1巻 第6章(pp119-140)2015

    • 著者名/発表者名
      薮田雅弘
    • 総ページ数
      193
    • 出版者
      岩波書店
  • [図書] スタンダード応用経済学 第16章観光市場と観光経済学2015

    • 著者名/発表者名
      薮田雅弘
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      勁草書房

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公開日: 2016-05-27  

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