世界遺産における観光発展と環境保全の在り方について、その概要と制度的側面についての研究をまとめ発表した。また、今年度は1年間の期間延長をお認め頂いたこともありWEB調査を行なった。アンケート調査に基づき、世界自然遺産を刊行する場合の人々の環境配慮行動などを含めた形で、研究を2018年5月までには論文にまとめる予定である。このWeb調査に関しては、すでに1000余名からの調査結果を得ており、世界自然遺産の保全や開発に対する考え方、必要な管理主体、管理に必要と考えられる手段、などを問うている。具体的には、世界遺産制度の認知、自然遺産もしくは文化遺産の嗜好の性向、世界自然遺産遺産(日本)訪問経験、世界遺産の訪問目的と評価、世界遺産開発に対する考え方(賛成、反対)とその想定される理由、世界遺産にとって必要な管理主体の役割、世界遺産の管理にとって必要と考える手段、結果として、世界遺産開発に対する人々のスタンス、などを問うている。これに加えて、もともとの計画では、コモンプールアプローチによるエコツーリズムの原則にもとづく課題とそれを政策的に実行する自治体や政府の在り方に関しても分析するとしていた。そこで、2018年の3月には、海外からのエコツーリズムの研究者を招いて、国際シンポジウムを主宰し、薮田は、コモンプール資源の過剰用と過少利用の両面が生起することを理論的に示し、その現状分析、政策課題についての分析発表を行った。
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