研究課題/領域番号 |
26340122
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
馬場 健司 法政大学, 地域研究センター, 教授 (40371207)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 合意形成 / ステークホルダー / 地方自治体 |
研究実績の概要 |
エビデンスベース環境政策形成事例のメタ分析(横断的事例分析)については,文献調査を追加的に実施し,Future Earthで議論されている様々な参加型手法(討論型世論調査,共同事実確認,コンセンサス会議,プランニングセルなど)が適用された事例10件程度を収集,参加者の選定,専門家の選定,専門知の提供方法,意思決定の結果などについて,事例データベースを整備した.現段階では,政策へ反映されることを目指したものとそうでないもの,専門家が専門知を提供するものと共同で課題認識を得るものの2軸で事例を整理しつつある. また,地熱発電資源が豊富に賦存している日本,フィリピン,インドネシアにおいて,地熱発電と温泉資源のコンフリクトに係わるエビデンスに対する一般市民の態度を,インターネットでの質問紙調査データの分析により比較したところ,エビデンスに基づく共同事実確認のような参加型手法を日本人が最も重視しない傾向が観察された.さらに,地熱発電と温泉資源のコンフリクトに係わるエビデンスをめぐって,ステークホルダー約30人を対象としたワークショップを実施し,専門知の提供効果を確認した. なお,環境政策に係わる行政計画策定過程におけるエビデンスの活用状況の分析については,気候変動影響題材として,全国の自治体を対象とした質問紙調査を実施し,そのデータ分析結果より,ほとんどの気候変動影響に係わる現象について,過去の実績ではなく,将来の予測情報というエビデンスがないところで施策化が困難であることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エビデンスベース環境政策形成事例のメタ分析(横断的事例分析)については,事例の収集がある程度までは進められたが,当初想定していた統計分析に耐えられるほど十分な情報量がいまだに獲得できていない.引き続いて事例を収集する努力は続けるが,収集する事例の対象を修正する必要も検討したい.ただし,それ以外の研究課題については,当初の予定より十分に進捗しており,また発展的にワークショップも実施するなど,全体としては概ね順調といえる.
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今後の研究の推進方策 |
エビデンスベース環境政策形成事例のメタ分析(横断的事例分析)については,参加型手法の事例を重点的に収集してきたものを,仮に修正する場合は,環境政策過程上のエビデンス活用事例に拡大して行うことが考えられる.この点は今後フィジビリティを検討する. 最終年度では,フィールドでの反映と手法適用のガイドラインづくりを行う予定であり,このうち前者(フィールドでの反映)については,前倒しで実施しており,今後はその結果を分析しつつ,他の知見と統合化して手法適用のガイドラインづくりを進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
ほとんど予定どおりの執行であり,物品費の精算等で若干の次年度使用額が発生した.
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次年度使用額の使用計画 |
生じた次年度使用額は極めて少額であり,物品費に適宜使用する予定である.
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