風力・太陽光発電システムを電力網に大量に連系する場合の系統連系規則、電力網運用、給電情報の開示制度について、日本とドイツを比較分析した。 1.ドイツ送・配電会社は、風力・太陽光電力が下位電圧系統の需要を上回る場合、風力・太陽光電力を低圧・中圧系統から高圧系統、特別高圧系統に、物理的にも上流送電(逆潮流)させ地域間送電する。下方・上方の双方向潮流に対応する系統運用を行う。ドイツの送・配電会社は、再エネ電源接続のため電力網増強、再エネ電力の優先給電、上位電圧系統への優先送電の義務を負う。 2.ドイツ送電会社は、垂直負荷(上位電圧網と下位電圧網との受電/送電)、地域間・国際間送電、調整力(1次、2次、3次)の投入量と入札価格、風力・太陽光出力の実績と予測、再エネ電力の出力抑制、卸市場当日取引での再エネ電力インバランスを15分MW値で開示する。再エネ発電設備毎に、容量、電圧階級、所在地、連系系統の情報を開示する(殆どの項目が法的開示)。系統連系要件は、系統連系規則(grid code)に詳細に明記される。公平な系統アクセスの観点から、追加的な無効電力供給や追加的電圧調整など、grid codeに記載の無い条件を送配電会社が追加要求することは厳しく制限されている。 3.ドイツの公開給電データを用いて、風力・太陽光の出力変動と上流送電、地域間送電が明瞭に相関することを確認した。ドイツ北部の送電管区では、風力の出力変動と上流送電は明瞭に相関し、風力の余剰電力は大量に域外送電される。 4.ドイツの周波数調整用の調整力と、風力・太陽光出力予測誤差、出力変動の相関を分析した。風力発電の多い送電管区では、2次調整力投入量と風力予測誤差は緩やかに相関し、風力発電の大量連系は調整力の必要量を拡大させる。調整力も地域間融通(GCC)・国際間融通(IGCC)され、調整力投入量を節約することが可能である。
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