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2015 年度 実施状況報告書

GISを利用した都市域の街区スケールにおける蓄熱・放熱量の観測と評価手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26340126
研究機関大阪工業大学

研究代表者

高山 成  大阪工業大学, 工学部, 准教授 (40403373)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードヒートアイランド / 都市内気温偏差 / 地理情報システム
研究実績の概要

今年度は夏季の昼間最高気温と夜間最低気温に関して,サブ都市スケールに発生する都市内気温偏差に関して,福岡県福岡市を対象として,天候や周辺の地理的要因との関連の検討を行った。地理情報システム(GIS)を使って,市街地において周辺の気温に影響を与える可能性が高いと思われる地理的要因を,土地被覆因子として数値化した。土地被覆因子を説明変数とした重回帰分析法により,昼間最高と夜間最低に現れる都市内気温偏差の推定モデルを導き,採用される因子の種類についても検討した。
昼間最高気温に関して,海風卓越日と非海風卓越日との間で平均値に有意な差は見られなかった。他方,地点間標準偏差は,海風卓越日において非海風卓越日より有意に大きく,海風卓越日に昼間最高気温の地点間較差が大きいことが示された。福岡管区気象台における昼間最高気温の観測値は,市街地域における平均的な昼間最高気温を概ね代表していたが,気象台観測値と市街地平均との相関は海風卓越日において最も低かった。海風卓越日における福岡市の市街地域では,海岸から遠く周辺の市街化率が高い場所程,昼間最高気温は高くなる傾向にあるが,緑地および河川上や周辺に水域が多い場所ではその上昇が抑えられていた。すなわち,都市化による高温化が進む都市域における昼間気温に対して,河川上を吹走する海風が極めて大きな冷却効果を持つことが示された。昼間最高気温について8月の1ヶ月間を統計期間とした場合,月平均都市内気温偏差は線形性を有し,土地被覆因子を説明変数とした重回帰分析法による推定が可能であった。一方,夜間最低気温は海岸から遠いとりわけ緑地で低くなり,緑地面積が大きいほど低温傾向が顕著となる。また,夜間最低気温では昼間最高気温の場合よりモデルは頑健であり,緑地周辺における低温「クールアイランド現象」が,局所的かつ明瞭に出現することが改めて示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

概ね研究の進捗は順調であるが、当初想定していた結果が得られず、計画の修正なども必要となっている。

今後の研究の推進方策

今年度も当初計画どおりに進める予定である。ただし、屋外観測が夏季を中心とした時期にしか得られないので、最終年度となる今年度も観測データの収集を行う予定である。また、派生したテーマとして、屋外運動を想定した新しい人体暑熱ストレス指標の提案とその有用性の検証についても検討したい。

次年度使用額が生じた理由

屋外観測実験が夏季を中心とした季節にしか実施できないため、最終年度となる次年度にも劣化した測定機器等を購入して、実験に使用する予定である。

次年度使用額の使用計画

日射計、超音波風速計、赤外放射計のいずれかを購入予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 夏季の大都市における昼間最高・夜間最低気温に現れる都市内気温偏差の推定2015

    • 著者名/発表者名
      高山 成・吉越 恆・山本晴彦・原田陽子
    • 雑誌名

      日本建築学会環境系論文集

      巻: 80 ページ: 1095-1104

    • DOI

      DOI http://doi.org/10.3130/aije.80.1095

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 屋外運動を想定した人体暑熱ストレス指標の有用性の検証2015

    • 著者名/発表者名
      尾崎陽三・高山 成
    • 学会等名
      日本農業気象学会近畿支部講演論文集
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2015-12-05

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公開日: 2017-01-06  

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