夏季の昼間最高気温と夜間最低気温に関して,サブ都市スケールに発生する都市内気温偏差について,天候や周辺の地理的要因との関連を検討した。海風卓越日は海岸から遠く周辺の市街化率が高い場所程,昼間最高気温は高くなる傾向にあるが,緑地および河川上や周辺に水域が多い場所ではその上昇が抑えられており,都市化による高温化が進む都市域における昼間気温に対して,河川上を吹走する海風が極めて大きな冷却効果を持つことが示された。夜間最低気温は海岸から遠いとりわけ緑地で低くなり,緑地面積が大きいほど低温傾向が顕著となる。また,緑地周辺における「クールアイランド現象」が,局所的かつ明瞭に出現することが改めて示された。
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