研究課題
(1)体平衡系等による酔いの評価:眼疲労などの真の原因として、以下の自律神経系のアンバランスを考えた。任意に視点を動かすことを許すと、視距離の異なる対象を次々と被験者は視認することになる。水晶体調節と輻輳の2つの制御系に相互作用がその都度、生じるようになり、時間変動を伴う。この非平衡状態こそが生体制御系に負担を加えており、間欠的な水晶体調節と輻輳の不一致も生み出している。不快な症状を惹起する立体映像と比較して、①周辺視の伴わない立体映像、②周辺視することにより遠近感の手がかりのある立体映像、の視認が体平衡系等に与える影響が小さいことを確認できた。ここで、立体映像の視認時間と不快な症状が継続する時間についても知見が得られた。以上は本研究で解明すべき目標そのものであり、安全な立体映像の作成および視聴に関するガイドラインを提言する上で根拠となり得る。これらの実験結果を国際会議にて口頭発表を行い、その一部は既に査読付き学術雑誌に掲載された。以上により、本研究課題は充分に達成されていると言える。(2)光脳機能計測:20-26歳の健常な男女14名を対象として実験を行った。70秒間の閉眼検査(Pre)の後、立体映像を追従視で70秒間視認、続けて周辺視で70秒間視認させた。立体映像は背景なし/ありの2種類の映像を用いた。視認映像が背景なしの場合、Preと比較すると追従視時より周辺視時の酸素化ヘモグロビン濃度の値の方がより大きく変動した。しかし、視認映像が背景ありの場合では顕著な変動はみられなかった。これは、背景あり映像では画面の情報量が増えることに起因すると考えている。Preと比較すると追従視時より周辺視時の方が後頭葉上部に酸素化ヘモグロビン濃度の増大がみられた。これは、背側視覚路における脳活動が亢進したためと考えられ、立体映像酔いの機序を考えるうえで手がかりとなり得る。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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