研究課題/領域番号 |
26350005
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 あるの 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (20467442)
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研究分担者 |
鈴木 克彦 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (10115983)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 学生寮 / アフリカ / 混住 / オランダ / 香港 / フランス |
研究実績の概要 |
先行研究および事例の整理はほぼ予定通り進み、さらに海外および国内において複数の実地調査を行った。 海外においては、南アフリカの学生寮において管理者および一部の居住者に聞き取り調査を行い、混住が全くできない社会状況下における棲み分けの実態、管理の徹底により生活環境が良好に保たれている事例について知見を得た。また韓国、香港、オランダ、フランスの学生寮運営担当者と面談し、各国の状況について把握すると同時に、今後の共同研究について合意を得た。 国内においては、多文化共生社会にふさわしい居住環境デザインの方向性を探るために、ブラジル人が多く居住する愛知県内の県営住宅を対象に外国人の異文化適応の実態を把握し、ストック活用を前提とした居住環境の改善策を事例的に検討した。また、多文化の人々のライフスタイルや文化、社会経済状況などの違いの障がいをなくしていく手法として英国で定着している「インクルーシブ・デザイン」に着目し、そのデザイン手法の特徴と応用の可能性について考察した。また海外からの移住者の生活様式許容プロセスについて知見を得るため、石川県輪島市周辺、福島県いわき市、兵庫県出石市および京都府丹後半島周辺地域において、日本の伝統的住環境および住居形式の使われ方を実地見学した。 発表においては、多文化共生の留学生寮における生活様式受容プロセスに関する論文(英文)が採択され南アフリカ開催の学会にて口頭発表を行った。関連研究として、環境デザイン分野の実務と教育の国際比較論の英文学術誌への掲載も確定した。インドネシア開催の学会では東アジア学生の意識の違いについて口頭発表を行い、日本留学経験のある研究者達と意見交換を行った。チェコ開催の学会では留学生寮における異文化混住の実態と可能性についてオランダの研究者らとパネルセッションを主催し、ヨーロッパ各地の留学生寮管理者らと意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究計画にある1)既往研究の整理、2)調査対象の選定、3)居住実態調査、5)海外の参考事例研究は順調に進んだ。3)においては、アンケート調査の対象として選定した集合住宅について事前調査を行い、管理組合や協力者との交渉にかなり時間を費やしたにも拘らず、昨今の個人情報保護強化の観点から協力の合意を得ることが適わず、アンケートの実施方法や内容について見直しが必要であることがわかった。そこに時間を取られたため、4)の日本人一般市民の意識調査については、平成27年度に見送ることとした。
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今後の研究の推進方策 |
27年度は、26年度に行った情報意見交換から得られた知見や事例のデータベースの内容をまとめ、9月にスコットランドで開催される国際学会において発表することが決まっており、そこでさらなる意見交換と実地調査を進める予定である。26年度に延期した日本人一般市民の意識調査については、内容を再検討した上で早々に実施し、24年度に実施した同様の調査と比較し、結果を論文として発表する。アンケートによる集合住宅の定量的居住実態調査については、26年度に準備や交渉を重ねたにも拘らず思うような結果が得られなかった経験を踏まえ、より効果的な研究方法を再検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
日本人の意識調査アンケートが実行できなかったため、その経費を来年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
日本人の意識調査アンケートを再度試みるための費用とする。
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