研究課題/領域番号 |
26350005
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 あるの 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (20467442)
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研究分担者 |
鈴木 克彦 京都工芸繊維大学, その他部局等, 教授 (10115983)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 外国人 / 移民 / 異文化適応 / 海外 / 民家 / 都市 / コミュニティ / ネットワーク |
研究実績の概要 |
今年度は特に総論のための文献研究と、建設業や不動産業といった実務家との情報交換に力を入れた。文献研究においては、米国の都市生成過程における移民流入と異文化適応プロセスについて、19世紀からの古書を含む原典や古地図、写真資料を調べ、また海外の歴史系の研究者に問い合わせをし、都市史一般書に寄稿する原稿としてまとめた。またヨーロッパの留学生住宅斡旋担当者の間で流通している情報を参照し、情報を整理する作業を進めている。フィールドワークとしては、国内では関東、中部、近畿、四国地方において、外国人居住に活用する可能性の高い伝統的家屋および集落を訪ね、現況の利用実態について、所有者および関連業者に対し聞き取り実態を調査した。そして今年度までの成果については、EAIE年次大会2015(英国、グラスゴー)および比較住宅都市研究会(東京)において口頭発表を行い、有益な情報交換をすることができた。さらに平成28年5月に南アフリカにて開催されたBritish Council主催のGoing Global 2016国際会議においてポスター発表も行った。また国外のフィールドワークとしては、タイ国チェンマイ市の多様な文化・伝統が混在する住宅地を対象として、新規に開発されたコンドミニアムにおいて求められる多文化共生のための地域コミュニティのネットワークのあり方について考察し、審査付論文として発表した。国内の大規模集合住宅における外国人住民に対するアンケート調査は、管理者との交渉が難航し実施に至らなかったが、その交渉の課程において、集合住宅の自治会といった住民団体の管理体制についての話を聞くことができ、外国人居住に関して制度や規約として整備しなければならない点が多数あることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査対象に予定していた集合住宅の自治会の協力を取り付けることができず、住民アンケート調査を実施することができなかった。個人情報保護の意識が定着していることから、管理者からの情報開示ができず、そのため住民に直接コンタクトを取って依頼することもできないという状況である。
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今後の研究の推進方策 |
アンケート調査の実施が難航しているため、定性的フィールドワーク、特にマンションや団地の知事会役員や留学生寮の管理運営者といっ人々に対する聞き取り調査を重点的に進める予定である。並行して文献調査と情報媒体の収集も引き続き行い、そこから客観的な分析を行う。定量的調査が難航しているという状況を鑑み、今後は学術論文のみに拘らず、その一般社会に有用な情報をよりタイムリーに提供する方法を検討する。例えば情報発信ウェブサイトの構築や一般書への寄稿なども、近々の目標である。
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