研究課題/領域番号 |
26350010
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
妻屋 彰 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10324815)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 設計支援 / 設計要求 / アナロジー / 製品事例 / 生活シーン / ウェブ / トピックモデル |
研究実績の概要 |
平成27年度は以下の項目について研究を進めた. (1)設計要求・設計解記述の詳細化・具体化支援 この研究項目については,平成26年度に引き続き,一部の事例にのみ含まれており,かつ特徴的で注目すべき要素を抽出する方法の検討を進めた.事例間の差違に注目し,共通する観点で捉えた場合における差違である整列可能な差違に関しては同一機能を説明する属性やその値の違いとして,特になんらかの観点に依ることなく違いを捉えている整列不可能な差違に関しては機能の有無として取り扱うことを平成26年度に提案したが,平成27年度はこの考えに基づいて,整列不可能な差違に関して,差違となっている機能要素を取り出し,同様の機能を有する事例を収集して提示することにより,注目すべき特徴要素であるか否かの判断を促す方法を考案した.また,アナロジーの連鎖による連想支援方法として,整列不可能な差違によって得られる注目機能を起点に連鎖させる方法を考案した. (2)シーンを考慮した要求・制約・設計記述の支援 本研究では,設計支援の対象として製品だけでなく,その使用環境や状況をも考慮することが必要であると考え,平成26年度から生活シーンを考慮した設計要求の具体化・詳細化への拡張を試みている.平成26年度では生活シーン記述モデルを提案したが,平成27年度は実際に生活シーン記述を行う方法として,web上にある日常生活記録からトピックモデルを用いて記述要素を抽出する方法の検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究を進めるにあたり,設計要求項目として当初想定していた設計対象物そのものについての知識に加え,使用環境や使用状況についての考慮が重要であることがわかってきたため,対象を製品に加えて製品が使用されるシーンまで拡張している.その成果が研究実績の概要に示した(2)の項目となっている.このように当初の研究計画にくらべて対象を拡大したにも関わらず,方法論・方法の提案についてはおおよそ順調,対象を拡げたことを考えると予定を上回る進捗度合いといえる.一方で,対象を拡張したために,当初の研究計画のうち,システムの実装に関しては遅れており,特に3次元CADシステムとの連携・統合に関してはかなり立ち遅れている状況である. 従って総合的に判断すると一部研究に遅れがみられるが概ね順調であると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
設計支援の対象として,製品そのものだけでなく使用環境や使用状況まで含めて考慮することが現在重要視されてつつあるため,本研究においても使用環境や使用状況をも含む範囲で引き続き研究を進めて行く.これは,平成27年度までに提案した生活シーン記述モデルに基づいた記述から製品への要求につながる要素を取り出す方法を考案し,設計要求・設計解記述の詳細化・具体化支援手法と結合する. アナロジーの連鎖による連想支援に関しては,平成27年度の検討結果をもとに引き続き研究を進めていく. システムの実装と検証に関しては,上記研究と並行して実装可能なところから順次進めていく.全体の統合は遅れているが,各研究成果の効果検証のために個別システムの実装と事例検証を優先して実施する.
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