研究課題/領域番号 |
26350017
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
黒川 基裕 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (30363774)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 産業デザイン / 商品企画 / 製品開発 / 東南アジア / タイ国 / クリエイティブ産業 / 工業化支援 / 開発経済 |
研究実績の概要 |
研究期間の2年目にあたる本年度は、まず当該研究のフレームワークをより明瞭にしていくため、これまで蓄積してきた研究成果のモデル化を促進するために、理論的考察と実験データを用いた論文を作製した。 この論文では、クリエイティブ産業を工業開発の成熟過程の中で位置づけるとともに、特に中進国において同産業を振興することの有効性を説明し、そのために必要不可欠な人材育成の在り方を定義した。人材育成については、クリエイティブ産業の中でも中心的な役割を果たすと考えられる商品企画人材の評価について、構成要素の決定と各要素の重要度を検討するための実証分析を行った。方法としては、複数の商品企画案をあらかじめ作製した商品企画評価シートにて評価項目(構成要素)ごとに数値化し、それらが説明変数としてどのように総合評価に関連しているのかを分析した。結果として、商品企画案はスタイリングなど外観によって評価されるというよりは、ターゲットユーザへの配慮や販売戦略を踏まえたものになっているかどうかが重視されるべきであることがわかった。 この他、昨年度末から新たに共同研究先となったKasetsert大学とのデモ講義をより具体的なカリキュラムで実施し、その教育効果を測定した。2回目にあたる本年度のデモ講義では、参加学生が大幅に増加し、多くの分析事例を収集することが可能になった。このデモ講義は、学生による商品企画案を収集するのみならず、講義を通してより具体的な教材を構成していることを目的としているが、共同研究者との意見交換を踏まえて、よく進捗している。これらの講義で得られた知見は、最終年度にあたる来年度に研究成果としてまとめられる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究テーマのフレームワークを紹介できる論文が作成できた他、現地での実証実験(デモ講義など)がよく進捗している。一方、制度設計に係る政府との交渉や企業へのヒアリング調査が遅れているため、計画以上に進捗しているとは判断していない。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画していた自動車産業人材育成プログラム(TADRDIP)内での実証実験については、進展が見込まれないため、TAHRDIPのうちVA/VEコースの実施団体となっているTPAと協議し、独自の商品企画人材育成コースの試行を検討していく。また、Silpakorn大学、Kasetsert大学でのデモ講義を継続し、分析対象となる商品企画案をより多く収集するとともに、産業デザイン人材のうち、少なくとも商品企画分野でのカリキュラム作製を達成するようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に計画していた現地調査の予定が次年度に変更になったため、また共同研究者への謝金支払いについて、研究成果の完成の遅延などから、次年度に支払う方が適切だと判断したため、大きな金額の繰り越しが生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に計画している実証実験の完了やデータの提供にあわせて、謝金支払いを完了する。また今後の研究の拡張のために周辺国での基礎調査を計画する。
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