研究課題/領域番号 |
26350024
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
輿水 肇 明治大学, 農学部, 教授 (60012019)
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研究分担者 |
菊池 佐智子 山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 研究員 (50409471)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 環境緑化工学 / ランドスケープデザイン / 都市環境デザイン / 景観形成・保全 / 再生可能エネルギー / 緑地環境管理 |
研究実績の概要 |
PVグリーンシステム(屋上緑化と太陽光パネルを組み合わせたシステム)下に芝草を植栽し、環境特性を測定した。芝草は、暖地型芝草のノシバの改良種『エルトロ』と寒地型芝草のアニュアルライグラスの改良種『フェアウェイII』をWOSした。太陽光パネルは黒色太陽光パネルと光透過性太陽光パネルの2種類とし、角度はそれぞれ最適角の33.1度と低位角の5度とした。方位角はいずれも真南の0度として実験を開始した。 芝草に関する測定項目は、鮮度(NDVI)と写真撮影、環境特性に関する項目は、気温、湿度、光量子束密度とした。 NDVIと3つの環境特性(気温、湿度、光量子束密度)との間には明確な関係性が見られなかった。パネル下をグリッド状に分け、各区ごとに鮮度(NDVI)の平均値を算出して、可視化したところ、黒色太陽光パネルでは、傾斜角5度の鮮度の方が傾斜角33.1度の鮮度よりも大きくなる傾向が見られた。同様の方法を光透過性太陽光パネル下に適用したところ、光透過性パネル下の芝草の鮮度は明確な違いが見られなかった。 日射透過率、透過光の違いがパネル下の鮮度(NDVI)にどのような違いを与えているか、同一角度の鮮度(NDVI)を用いて平均値の差の検定を行ったところ、傾斜角33.1度としたパネルでは、有意水準5%で光透過性太陽光パネルの方が鮮度(NDVI)が大きくなること、傾斜角5度としたパネルでは、黒色太陽光パネル、光透過性太陽光パネルとも鮮度(NDVI)に統計的な有意差がないことが示された。 このことから、傾斜角を33.1度としたPVグリーンシステムは、芝生緑化への影響が小さいこと、パネル設置は芝草の鮮度(NDVI)よりも芝草の形体に影響を与えることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
光透過性太陽光パネルについては、電力量(発電量)の計測ができていない。装置が風雨により影響を受けていることから、専門家との調整(ヒアリング)を行い、適切な測定機器へと変更する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
光透過性太陽光パネルを使用したPVグリーンシステムの環境特性図の作成、PVグリーンシステムを両立する植栽計画の策定に取り組む。 PVグリーンシステムの環境特性図の作成は、黒色太陽光パネルで実施してきたノウハウを用いて、環境特性が比較できるようにする。 PVグリーンシステムを両立する植栽計画の策定では、今年10月に名古屋で開催されるWGIC2015(世界屋上緑化会議名古屋大会2015)の出席者を対象に直接面接によるヒアリングを実施し、多くの実務者からのデータ収集を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
関連する研究者、実務者との意見交換の場が少なかった(謝金の使用)ため。 実験区の調整(芝草緑化の管理)に時間がかかり、電力量を測定する機材の選定が間に合わなかった(物品費の使用)のため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年10月に開催されるWGIC2015(世界屋上緑化会議名古屋大会2015)に参加する研究者、実務者と積極的に意見交換を実施する。 光透過性太陽光パネルの電力量を正確に測定する機器の選定を進め、当該年度中(早いうち)に購入、設置する。
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備考 |
エコプロダクツ展において研究成果の一部をポスターとして紹介した(2014年12月)。
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