研究課題
奈良公園エリアを対象に、写真投稿サイト(Flickr)から抽出される写真情報(撮影位置・時刻と画像)を主に、3D都市モデルと樹木データベースを補助に用いて、まず緑景観をシーン景観として分析し、デザイン支援を行った。東大寺では、年間を通じて大仏殿の西側回廊から視点近傍の緑と大仏殿を共に含める構図が数多く撮影され、樹木の開花、新緑、紅葉、落葉などの季節変化が緑景観の重要な要素となっている。一方、興福寺では、緑を含み五重塔が被写体となる写真を、撮影位置・時刻だけでなく方向や焦点距離などのExif情報を用いて分析し、緑が背景となる写真に特徴を見出した。次に、観光ルートで順に眺められる緑(シークエンス景観)を把握するため、写真の撮影位置・時刻をもとに観光客個々のルートを抽出し、それらの重なりから主要ルートを特定した。東大寺と興福寺、各々のメインルート上から眺められる緑を都市モデルから画像として抽出し、算出された緑視率により見え方の変化を把握した。興福寺では、とくに詳細な指標化によりルート上でよく眺められる樹木を特定した。29年度には本手法の活用拡大のために、AIを用いた画像認識技術を用いて奈良公園エリアの写真画像を簡便に機械判読し、緑をはじめとする被写体別のホットスポットを抽出した。また、Twitterを用いてテキスト情報を収集し景観に関わる感情分析などを行い、景観分析から評価への展開を試行している。なお、奈良公園エリアと同じ手法を京都・嵐山嵯峨野エリアにも適用し、シーン景観の典型を得るとともに緑の季節変化についての分析とデザイン支援を行って、その有効性を確認した。また29年度には金沢・兼六園にも適用し、庭園内の良視点場や鑑賞ルートの把握といったシークエンス景観の分析を行っている。ここでは、4種類の視点特性を明らかにし、映像作品のカメラワークと類似していることを明らかにした。
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Proceedings of the 15th International Conference on Computers in Urban Planning and Urban Management (CUPUM 2017)
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日本建築学会第40回情報・システム・利用・技術シンポジウム論文集
巻: - ページ: 125-128
巻: - ページ: 129-134