本研究年度における研究実施内容は主に前年度までの成果の応用性について考察するものであり具体的内容は以下の通りである。 まず、成果物をシャドウボックス形式のレリーフ装飾パネルとしてマウントし、審美的なアート作品として額装したものを一般美術向けの展覧会において出品を行った。これはアウトリーチ活動として前研究年度に引き続き行っているものであるが、それ以外にも本研究課題の装飾部材が展示環境下に耐久性・クオリティの面で耐えられるかどうかを検証する目的もあり、また、他の様々な一般美術品の中において、デジタル造形物が十分なクオリティを保つことが可能であるかを確認する意味もある。特に本研究年度においては、複数の方式で出力した立体造形モデルを用いたが、一部で形状の変形や破損が見られたことから、劣化しやすい形状の傾向などのデータが得られた。 形状生成技法の面においては、いくつかの市販ソフトウェアにおいてディスプレースメントマッピングやリトポロジーの改善がみられていることから、それらを応用することで効率的な形状生成を行うことが確認でき、それを上記成果物へと応用している。 これらの成果について、国際会議ADADA2016において口頭発表を行ったが、その結果としてBest Art Paperという賞に選ばれた。また、国際会議SIGGRAPH Asia 2016における審査制アート作品展であるArt Galleryにおいて成果物が採択されたため、前述したレリーフ作品の展示を行った。また、同会議においてArtist Talkとして簡易口頭発表も実施してアルゴリズムの解説を行った。最終的に、これまでの成果と技法についてまとめた論文(査読付き)が採択された。
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