研究課題/領域番号 |
26350032
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研究機関 | 秋田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
井上 誠 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20634223)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 建築計画 / 進化的多目的最適化 / 対話型進化的計算 / 空間生成アルゴリズム |
研究実績の概要 |
(1) 空間生成アルゴリズムの生成過程の手法として,各フロアの目標面積に比例した選択確率で成長させる方法を実験的に評価し,検討を行った.従来法の成長は一定のフロア順に行っており,その順序がフロアプランに与える影響を和らげることを狙った.結果は期待された程ではなかった.遺伝子型である染色体から確率的に表現型であるフロアプランが作られることが要因ではないかと推測している. (2) 定性的目的を持つ設計問題として香りの最適化に関する対話型進化的計算の共同研究を行った. (3) 環境設計の研究として,建築計画に関する研究と建築設計を行った.建築計画は教育機関附属図書館の改修計画を情報システムと教育方法とを関連付けて実現性を検討した.建築設計は,戸建住宅での問題の解決と課題の克服のために,伝統的空間を現代生活に積極的に取入れ,都市と個人住宅の空間的な繋がりと分離の調整を試みた. (4) 新たに多目的最適化問題への受容度概念の導入研究を行った.ユーザの各目的に対する受容の度合いを用いた新しい評価・ランキング法を提案し,実験によってその有効性・実用性の検証を試みている.設計などの実問題,ユーザの定性的目的を含む多目的最適化問題を想定している.多目的最適化において個体の評価・ランキングが重要な課題となっている.また,パレート・アプローチでの計算コストや多数目的問題における同ランク傾向の問題,実問題での意思決定(DM)の要求等があるが,これらの解決を狙っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
空間成長アルゴリズムの各フロアの目標面積に比例した選択確率で成長させる方法のコーディングに時間を要した.結果も予想通りではなかったため,その原因も未だ特定できていない.また,計画範囲形状を自由化する研究のためのコーディングもまだ途中であり,時間がかかっている. 定性的目的を含む多目的最適化問題に受容度概念を導入する研究を新たに開始した.この研究を共同で開始するにあたって打合せを重ねている.
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今後の研究の推進方策 |
(1)ユーザ受容度による多目的問題の最適化及びランキング法の研究を行う.多目的実問題として,ハイブリッドロケットエンジン設計問題を題材に設計家の各目的に対する定性的な受容度を元に実験検証を行う.この他に賃貸住宅や土地利用計画について,ランキング及び評価方法にユーザ受容度を用いることを計画している. (2) 空間成長アルゴリズムの成長の方向,速度,確率などの研究を継続する.また,コンピュータで生成するフロアプランの新しい方法を検討する. (3) 空間成長アルゴリズムの計画範囲形状の自由化,遺伝子型と表現型の対応関係の調査などを行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究が遅れ,これに伴い論文投稿や国際会議への出席が減ったために,旅費やその他の経費が予定使用金額に達しなかった. 新たな手法の導入のために研究費使用計画を再検討したために物品費及び人件費・謝金の使用が予定より低くなった.
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次年度使用額の使用計画 |
国内外の学術研究会や会議に出席するための旅費及び参加費,論文の校正や学会誌投稿のための費用として使用する. コンピュータでフロアプランを生成する新しい手法の検討実験のために,ビッグデータ用ストレージ,並列計算のためのGPUなどのPCハードウェア整備のために使用する. プログラミングの外注や被験者を用いた実験のための人件費・謝金に使用する.
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