1.設計支援システムでの進化的多目的最適化(EMO)と対話型進化的計算(IEC)の組合せ効果を確かめるため,建築計画の4目的とIECの1目的の世代毎の組合せEMO実験を行った.繰返し実験のためにIECは3通りの擬似ユーザを用い,合計39通りの組合せ実験で有効性を確認した. 2.空間生成アルゴリズムの改良を3つの方法で改善する試みを実験した.(1)成長開始点の指定,(2)廊下の成長方向の制限,(3)部屋の成長制限の緩和である.また,3つの改善案を全て含んだものも実験した.4目的の世代毎のフィットネス値を実験により求め,従来方法と各改善案との有意差の有無を検証し,幾つかの傾向を把握した. 3.空間生成アルゴリズムの過程として,各フロアの目標面積に比例した選択確率で成長させる方法を実験的に評価した.従来法の一定フロア順による空間生成の影響を緩和することを狙ったが,結果は期待された程ではなかった. 4.定性的目的を持つ設計問題として香りの最適化に関するIECの共同研究を行った. 5.各目的に対する設計者やユーザの受け入れられる定性的な度合いを受容度とし,多数目的最適化に導入する研究を開始した.(1)受容度を用いて賃貸住宅の多数項目に関してランキングし,ユーザの求める物件を検索することをタスクとして評価実験を行った.7つ前後の項目に対するユーザの受容度関数を用いて物件群の順位あるランキングが可能になった.(2)5目的の静粛超音速研究機の非劣解75個体群に対して受容度を用いてランキングを行った.設計者が選好した一つの解を基に受容度関数の作成し,各目的値に対する受容度値を統合して個体の評価値とするいくつかの方法や重み付けを行い,受容度と従来法の単調関数との比較を行った.これらの結果をまとめ,学会誌への投稿作業を現在行っている.
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