研究課題/領域番号 |
26350041
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
中村 真由美 富山大学, 経済学部, 准教授 (30401269)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 少子化 / 家族形成意欲 / 社会学 / ジェンダー / 出生 / 地域差 |
研究実績の概要 |
(1)本研究では、内閣府の「都市と地方における子育て環境に関する調査」の個票データを再分析した。さらに上記の調査を補完するため、オリジナル調査(富山市と福井市において実施した無作為抽出による郵送調査票調査)の内容もあわせて分析した。その結果、出生に関する規範意識には地域差があり、それが親だけでなく、祖父母からの子育て支援の度合いにも影響していることが明らかになった。たとえば福井では、子供に対する伝統的な意識が強い(子供を跡継ぎとして見なす等)が、同じような三世帯同居状況にある富山に比べ、祖父母の子育て支援の度合いが大きかった。また、地域の経済状況(県民ひとりあたりの地方税収入)が住民の地域の経済展望に影響し、さらにはそれが子育てのしやすさや子供を持とうという意欲に影響していることが明らかになった。研究成果は、世界社会学会、日本家族社会学会、および、学会誌(家族社会学研究)において報告している。共著の本(英語にて出版)としても出版予定である。また、家族形成意識に影響する要因として、母乳育児に関する「指導」に着目し、母乳育児についての指導が母乳育児期間や出生間隔に与える影響を検証した(福井市調査データを用いた)。この研究成果を日本社会学会で報告した。
(2)新たな調査を実施するため、既存の調査・研究をレビューを行った。当初の予定よりも、レビューをする範囲が広がったこと等の事情があり、調査実施を3年目(本年)に変更した。新たな調査では、出生に関する意識項目を拡充し、さらにライフステージごとに意識に影響を与えると考えられる項目について聞く、子供との接触経験、社会ネットワーク特性、他の意識要因、地域特性なども取り入れて実施する予定である。
研究の意義・重要性としては、家族形成意欲に関わる要因として、従来あまり注目されていなかった要因に光をあてたことである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レビューの範囲が広がり、調査実施時期を3年目に変更したが、それ以外の分析、出版は順調に行っており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今までの2次分析やレビューの成果を取り込んで、新たな調査を実施し、分析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
レビューの範囲が広がり、調査実施時期を2015年度から2016年度に変更したため。
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次年度使用額の使用計画 |
新たな調査を2016年度に実施する。
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