研究課題/領域番号 |
26350046
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
上田 悦子 鳥取大学, 医学部, 講師 (40335526)
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研究分担者 |
大塚 譲 戸板女子短期大学, 食物栄養科, 教授 (20135833)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 食の安全 / 家庭科教育 / 遺伝子 |
研究実績の概要 |
「食の安全」を脅かす様々な問題は、消費者にとって大きな関心事となっている。今後の日本の食糧事情を考慮すると、遺伝子やバイオに関する項目を含めた食の安全に関する消費者教育を社会人だけでなく若年層にも深めていくことは重要である。本研究では、高校教員と連携して「食の安全・安心」への関心や理解を深める家庭科の新たな学習プログラムの開発を目的とするが、本年度は、T県全高等学校家庭科担当教員約100名に対し、属性、食の安全への関心・消費行動、食の安全授業の実施状況、授業実践の課題・必要な援助の種類・必要な教材等の調査を行った。質問紙による自記式あるいは他記式により実施し、郵送で回収を行った。アンケートの解析には統計用ソフトSPSS、Excelを用い、単純集計を行った。さらにクロス集計χ二乗検定等の分析を行った。 回収率は73.1%であった。9割以上の教員が食料問題、食中毒、食品添加物、遺伝子組換え食品等の「食の安全」に関する項目の指導経験を有していたが、特に「遺伝子組換え食品」に関する指導は、教員自身の関心と不安の強さがその授業の実施状況や内容に反映されていた。全体の38%の教員は高い関心を持って複数の資料を活用した中立的な立場での「遺伝子組換え食品」の授業を実践していた。 遺伝子組換えの内容を含む「食の安全」に関する授業を充実させるために、教員は安全性に関する情報を重要視しており、最新研究動向を含め分かり易い情報を求めていた。また生徒の理解を効果的に高めるための授業として、新しく実験教材を取り入れようという意欲を持っていた。そのため、これらの項目に関する高校教員の研修や、効果的な教材の開発等の授業支援が必要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査結果をまとめ、論文投稿準備中である
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今後の研究の推進方策 |
高校家庭科教員への調査結果より、遺伝子組換えの内容を含む「食の安全」に関する新たな授業実践のためには、まずは遺伝子リテラシーを含むわかり易く説明した資料、安全性や最新動向に関する正確で詳細な情報、授業で取り入れやすい教材等の提示が求められていることが明らかとなった。必要とされる支援は教員自身の食の安全への関心や不安の程度により異なるが、これらの提示により教員自身の関心が高まれば、授業に取り入れる割合も高くなる可能性が考えられた。 そこで多くの教員が希望した食品衛生の内容を含む食の安全に関する新たな実験教材の開発を行い、それらを使った授業を実施して教材の価値を明らかにしていく。現在の食生活における「食の安全」を生徒に理解させるための教材研究、実践授業を高校家庭科教員と連携して行う。 調理時における衛生及び食品の遺伝子に関する実験教材を用意できたので、高校家庭科教員の研究協力者を募り、その勤務校にてのモニター授業を依頼し、教材の有効性、またその授業の効果について、教員用調査項目及び生徒用調査項目を用意し検証を行う。評価は自己記入式質問調査票への記入にて行う。調査票の解析には統計用ソフトSPSS、Excelを用いて単純集計、さらにクロス集計χ二乗検定等の分析を行う予定である。現在までに、授業実施済み2校、実施予定は4校であるが、各教材に関して幅広く評価を得るため引き続き協力を得る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
関係する学会等への出張を予定していたが、講義等日程の都合により取りやめたため、旅費を使用しなかった。 モニター授業を行う高校教員への実験教材の提供を予定していたが、カリキュラムの関係で28年度に実施することになった高校があり、27年度には購入しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
モニター授業アンケートの分析(約500名分)のための人件費を計上する。成果を学会にて公表する。また、論文として発表するため掲載料等が必要である。
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