研究課題
食の安全は消費者にとって大きな関心事であり、これまでにも加工食品の牛肉偽装事件や中国産冷凍食品からの農薬検出事件などが、消費者の不安を掻き立てる事件が次々に起きている。日本の食料事情を考えると、輸入食品や遺伝子組換え作物等の摂取は避けて通れない問題であるが、それらの実態や社会的影響などについて学校教育の場でどの程度正確に指導されているかは不明であった。そのため「食の安全や遺伝子組換え作物・食品を家庭科の授業で指導すること」に関して、食の問題を直接指導する立場にある高校家庭科教員に意識調査を行い、その結果をもとに分析し、成果を日本家政学会誌で公表した。多忙な家庭科教員は授業実践に即役立つわかり易い情報やそれを基にした教材を求めており、合わせて遺伝子リテラシ研修の必要性も感じていた。「食の安全」の授業実施のための有効な教材が求められていたことから、まずは食品の衛生と関連した簡易キットを用いた微生物検出実験授業の提案をし、専門教科「家庭」の科目で実践した。生徒は調理における細菌汚染の実態を理解することができ、衛生対策を考えるうえで、この簡易キットを用いた実験教材は有効であることが確認できた。次に「食品からのDNA抽出実験」を高校「家庭基礎」の食の安全授業の導入教材として、モニター授業を計画し実施した。授業前後に生徒へのアンケート調査を行い分析した。また実際に指導した教員にもアンケートを行い、実験教材の有効性を確認した。これらの成果を元に、指導用資料を含む学習プログラムとして完成させる予定である。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
日本家政学会誌
巻: 67 ページ: 469-478
J. Agric. Food Chem.
巻: 64 ページ: 8397-8405
10.1021/acs.jafc.6b02500