研究課題/領域番号 |
26350048
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
森田 美佐 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 准教授 (20403868)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ジェンダー / 家族 / ワークライフバランス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、どうすれば働く生活者の視点に立つ(妊娠中・育児中の人、家庭責任をもつ男女も含めた)労働者が満足できるワーク・ライフ・バランス(WLB)が実現するのかを、生活から労働の在り方を考える家政学から明らかにすることである。 研究実績の概要は次の3点である。 第1に、文献調査から、行政や企業のWLBの施策は、労働者の仕事と生活の調和の啓発と、女性の仕事と家庭責任の両立を後押しするという意味では、効果があったと考えられる。しかしこれらの施策が、特に家庭責任をもった男女労働者の生活のしやすさと働きやすさにつながったとは言い難い。 第2に、第1子の出産前後で離職をする女性が多い中で、子育てしながら働く女性に焦点を当て、意識調査を行ったところ、働く母親は、仕事を続けたいと考える意識は高いものの、管理職に対する意欲は、高いとは言い難い傾向が見られた。またその中で、働く母親の育児への関与は、夫よりも妻のほうが圧倒的に多く、働く母親の生活の質(時間的、精神的ゆとり等)が課題と言える。 第3に、同じく、働く母親を対象とした調査結果から、働く母親は、同僚や後輩の女性(男性)の子育てに対して、支援的な見方をしている様子はうかがえたが、その意識の強弱は、働く母親が置かれた状況によって異なっており、働く女性は、自身が子どもをもって働いていても、同じ境遇の同僚全てに親和的であるとは限らない傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの評価については、おおむね順調に達していると考える。 その理由としては、研究計画にあった(1)文献調査を実施できたこと、またそこから見出された課題は、申請時に考えていた仮説と大きくかい離してはいなかったこと、(2)アンケート調査を実施したこと(働く女性の多数が出産を機に職場を離れていることから、逆に子育てしながら働く女性に対する調査を行う事により、働く女性が、子育て等の家庭責任を持ちつつ、生活しやすい中で職場で活躍できるための条件を見出す)。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては2点をあげたい。 第1に、職場における子育ての迷惑意識の払しょくと、女性のキャリア構築・ジェンダー平等が進む条件を考えていくことである。先行研究では、女性の就業継続意欲や指導的地位への意欲を高めるための条件を検討するものがあるが、家庭責任が職場で迷惑がられる構造が存在する限り、男性も女性も家庭生活を営みながら働きやすい社会の形成は困難であろう。 第2に、調査の充実である。1年目は働く母親に焦点を当てたが、働く男性、子どものいない女性なども対象にして研究を進めたい。
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