研究課題/領域番号 |
26350050
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
三橋 俊雄 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 研究員 (60239291)
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研究分担者 |
檜谷 美恵子 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (60238318)
田中 和博 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (70155117)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 遊び仕事 / 台湾原住民 / Taromak族 / 狩猟 / 民俗学 / 生活文化 / 自然観 |
研究実績の概要 |
本研究は台湾原住民Taromak 族が慣習的に行なってきた狩猟活動を自然共生型や集落共同体のあり方を内包する遊び仕事として捉え民俗誌的視点より考察した。 狩猟のプロセス: 1)出発前に不吉な兆を避ける夢占い、2)夜明けごろ出発、3)猟場に入る際安全を祈願するParisi、4)山の入り口で鳥占い、5)動物の足跡を追跡、6)ワナを設置、7)夜に銃猟、 8)山小屋に宿泊、9)仕掛けたワナを見る、10)ワナに掛かった動物を殺す、11) 神や祖霊に感謝のParisi、12)大きい動物は現地で解体し燻製、13)猟肉を分配、14)顎の骨を掛けて供養。狩猟の道具:山猟はイディールを持ちバカール/小刀を腰に紐で着けカルダールに里芋・米・アワ・ワイヤー・鉄ワナを入れて出発。使用するワナの種類には、鳥類・ハクビシン・リスなどを捕獲するタウンヌ・バレカコン・トローコ、キョン・山羊・イノシシ・水鹿などを捕獲するザレーシなどがある。猟銃は火神槍という火縄銃の改良版を使用。狩猟の信仰:猟場には守り神や先祖の霊がいることを信じ、山肉の肝臓を小さく切り、米酒・檳榔・菓子を添えて捧げ、Parisiを通じて感謝の意、畏怖の意を表している。また、狩猟に関連する夢占い・鳥占いもParisi である。狩猟の名誉:名誉の冠り物アカモーツオはその家の女性が作る。自分で仕留めたイノシシの牙と歯を正面に、中央後ろにクマタカの羽、その前にヤマユリの花が飾られ、冠り物の周囲はビーズの飾りで埋め尽くされている。 Taromak 族の狩猟の実態には、山肉の分配や神・祖霊に対するParisiの行為など自然と対峙しながらも誇り・分かち合い・感謝の心を持つ、生身の狩猟の自然観が継がれている実態が確認できた。また、狩猟行動・文化の実相には、従来の遊び仕事の定義に加えて民族の誇り・自然への畏怖と信仰・同体の堅持などへの強い意思が内包されていた。
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