研究課題/領域番号 |
26350053
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研究機関 | 田園調布学園大学 |
研究代表者 |
矢萩 恭子 田園調布学園大学, 大学院人間学研究科, 准教授 (60389830)
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研究分担者 |
松田 純子 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (10407215)
菊地 知子 お茶の水女子大学, 人間発達科学研究所, 研究協力員 (30436729)
塩崎 美穂 日本福祉大学, 子ども発達学部, 准教授 (90447574)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 子育て支援 / 保育者養成 / 保育実践力 / 保育の専門性 / 国際情報交換 / ニュージーランド / プレイセンター / 実習生 |
研究実績の概要 |
平成27年4月より「子ども・子育て支援新制度」が施行される中、保育者養成における子育て支援者としての専門性を身に付けるための養成カリキュラムの検討は、まだ十分になされていない。そこで、本研究の目的は、近年、在園親子や地域の子育て家庭への「子育て支援」に関する保育実践力(本研究では「子育て支援力」)について、保育者養成校と地域の子育て支援事業における連携の取り組みの現状と、養成すべき専門性としての「子育て支援力」の枠組みや構成要素を明らかにし、実践的養成プログラム開発のための検討を行うことにある。平成26年度の研究成果は以下のとおりである。 1.我が国の子育て支援施策の変遷を改めて検証しつつ、子育て支援者の専門性に関する先行研究について整理し、他ならぬ「保育」の専門性に基づく支援についての考え方を確認できた。2.保育者養成における子育て支援に関する教育体制・内容・方法の現状に関する調査研究として「保育者養成校と子育て支援施設との連携に関するアンケート調査」を関東甲信越と静岡地区165校、九州地区55校、計220校を対象に試行(約3割の回収率)した結果、養成校の現状ならびに身に付けさせたい子育て支援力に関する因子が見つかり、全国調査への足掛かりををつかんだ。3.国内の子育て支援施設における保育者養成校との連携の実際について知るため、人口減少地域と都市部それぞれの地域において、各施設・事業の視察ならびに施設長や支援担当者へのインタビュー調査を実施し、地域性・独自性・共生性という特徴と養成校との連携の実態についての理解を得ることができた。4.海外の就学前教育施設等における子育て支援に関する実践についての視察や、保育者養成における子育て支援力に関するカリキュラムや実習生指導などの実態について、ニュージーランド視察訪問調査を実施した結果、多様な施設における支援の特徴を見ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究が取り組む分野は、持続可能な社会のための営為とも言える子どもや子育てに関する領域であり、それらを取り巻く社会状況や施策の動向に影響を受けながら、同時に、地域のおかれている現状やそこで求められるニーズに応じて、多様でおびただしい実践の蓄積が日々進行している実態がある。また、子育て支援、保育の専門性、保育実践力など、関係する用語についても、一般化されうる定義に関する議論が進行中である。 そのような状況において、子育て支援施設の視察訪問調査、保育者養成校と子育て支援施設との連携に関するアンケート調査、我が国の保育者養成について考える上で欠かせない海外訪問調査などを次々と実行に移すことが出来た点において、一定の成果が導き出されていると言える。 一方で、それが先方との交渉が必要な状況などから、常設の子育て支援の場をもち子育て支援実践プログラムを実施している、あるいは、養成カリキュラムにおいて、子育て支援施設と強固な連携関係をもっている保育者養成校へのインタビュー調査がやや遅れ気味である現状は否めないものの、この点については、継続する年度の研究計画において十分回復可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成27年4月施行の「子ども・子育て支援新制度」の実施状況の把握に努めつつ、保育者養成における子育て支援に関する教育の現状に関する調査研究をさらに進めていく。そのため、平成26年度実施の「保育者養成校と子育て支援施設の連携に関するアンケート調査」の成果を基に、全国版調査を行う。また、その連携の実際について、特に、子育て支援施設と保育者養成大学との連携モデル事業の視察調査やインタビュー調査を引き続き行う予定である。 一方、研究の内容および予算等の見直しを行った結果、平成27年度は、現時点での成果報告を海外の発表の場で行い、さらに、国内施設の視察訪問報告書をまとめることとしたため、新たな海外視察訪問調査は保留し、代わりに、最終年度に実施予定であったシンポジウムの企画・実施について検討している。 研究の最終年度は、平成26~27年度の研究成果をまとめ、保育者養成における「子育て支援力」養成の枠組みおよび構成要素について検討し、その成果を発信していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年3月14日~24日の期間で行ったニュージーランド海外視察調査の支出分(主に旅費の費目)が、経理担当課への届け出締め切り期日との関係で計上されていないため、次年度使用額が発生している。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額分は、ニュージーランド海外視察調査(2015年3月14日~24日)分として、平成27年度に収支について報告して使用する。
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