研究課題/領域番号 |
26350056
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
栗田 耕一 近畿大学, 工学部, 教授 (90455171)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歩行運動 / 非接触計測 / 静電誘導電流 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
本研究では高齢者の歩行運動を非接触で検出することにより、安否確認のみならず、従来法では困難だった高齢者の“歩行の質”の評価を行なう技術を確立することを目的としている。我々は、被験者の歩行運動による人体電位変動を、被験者から数メートル離れた位置に設置した電極に誘起される静電誘導電流を検出することにより非接触で歩行運動を検出する技術を開発した。この技術を用い、本年度は、歩行信号計測用小型センサの試作と性能評価を実施した。当初目標としていたサイズ(80mm×50mm×20mm)のセンサを試作し、歩行信号の検出が可能であることを検証した。さらに、静電誘導電極の小型化を行なうため、歩行信号の検出感度を向上させることにより電極サイズを2cm角まで小型化することを可能にした。また、センサ内部にこの電極を組み込んだ小型センサを製作し、センサとパソコン間の配線を不要とするため、XBeeを用いることによりデータ通信をワイヤレス化するシステムを構築した。さらに、試作したワイヤレスセンサを用いて被験者の歩行運動を非接触で検出することを試みた。その結果、センサと被験者の距離を5m程度まで離しても、静電誘導電流波形には歩行運動による足の接地や離地のタイミングで発生するピークが検出可能であることを検証した。さらに、歩行データ解析を迅速化するため、データ解析にLabVIEWを用いた。これにより、ほぼリアルタイムで歩行運動の僅かな差異を明らかにするデータ解析システムを開発した。さらに、被験者のポケットやベルトに装着可能なワイヤレスセンサを試作し、被験者の歩行運動に表れる歩行周期の“ゆらぎ”の検出が可能であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
静電誘導センサの小型化とワイヤレス化を実現し、センサと被験者の距離を5m程度まで離しても、静電誘導電流波形には歩行運動による足の接地や離地のタイミングで発生するピークが検出可能であることを検証した。さらに、歩行データ解析を迅速化するため、データ解析にLabVIEWを用いることにより、ほぼリアルタイムで歩行運動の僅かな差異を明らかにするデータ解析システムを開発した。また、被験者のポケットやベルトに装着可能なワイヤレスセンサを試作し、被験者の歩行運動に表れる歩行周期の“ゆらぎ”の検出が可能であることを確認しており、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画どおり、被験者の歩行信号波形から歩行の質の推定法確立を目指す。H26年度研究にて試作した装置を用いて被験者の歩行信号計測を行ない、被験者の歩行信号データを蓄積する。また、歩行データを算出する時間間隔、及び算出したデータを転送する具体的な方法について最適化を行なう。現時点で着目している被験者の歩行の質を評価する具体的手法は、歩行信号のスペクトルを解析し、低周波領域に現れるピーク値の増減、歩行信号の高調波の有無に着目する予定である。この手法を確立し、被験者に対して自らの歩行の質を定量化する方法を確立する。
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