研究実績の概要 |
本研究では、室内に配置された観葉植物などの生体電位の変動から、居住者の振る舞いや室内環境を推定することを目的としている。カメラやマイクなどを用いないため、居住者に対して心的負担を与えずに計測できる点が優れており、また植物自体の癒し効果も期待できる。本研究遂行のため、平成26年度は室内に配置された1つの植物の生体電位を計測し、室内で特定の行動をしている居住者と植物間の距離を推定する手法を構築した。具体的には、植物の周辺で足踏みを行い、その際の生体電位の変動を測定した。この測定を距離の変えながら多数計測し、距離と生体電位の変動データを大量に取得した。このデータを周波数解析し、一定の周波数以下の周波数特性を特徴量とし機械学習を行うことで、距離と生体電位の関係モデルを生成した。このモデルにより、1名の居住者の距離を推定可能となった。ただし、植物生体電位が行動から影響を受ける距離が限られていることもわかり、1つの植物で室内全体をカバーすることが困難であることも判明した。これらの成果は、以下の国際会議で報告した。 Xingyu JIN, H.Nambo, H.Kimura, “Recognition of the Distance between Plant and Human by Plant Bioelectric Potential”, The 15th Asia Pacific International Engineering and Management Systems Conference, p44 MB9-6, 2014.10. また、これまでは計測したデータを一旦蓄積し、バッチ処理的な手法で解析を行っていたが、計測システムを改良し、リアルタイムに計測ー推定を行うシステムを構築した。この改良により、実験にかかる手間を大幅に削減した。
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