7月にベルギー王国で開催された国際会議(Indoor Air 2016)にて,平成26年度冬期に実施した実験に関して発表を行い,海外の研究者に本研究の成果を公表することができた。そして,この国際会議での討論,意見交換をとおして最終的な成果の方針を決定する手がかりを得た。11月に国内で開催された学会の年次大会で平成27年度夏期に実施した実験に関して発表を行い,ほとんど実施されていない夏期実験のデータについて公表することができた。高温環境での血圧や心拍変動などの生理反応の取り扱いについて専門的な意見を聞くことができ,最終成果への参考となった。 これまでの国際会議,学会の年次大会での発表で得られた情報,意見を参考にしつつ最終的な成果に向けてデータ整理を進めた。夏期の実験に関しては平成27年度に実施した実験のみで統計処理を行い,冬期の実験に関しては平成26年度および平成27年度に実施した2シーズンの実験を統合して統計処理を行った。生理反応,心理反応ともに条件間の差を検討するために統計的有意差検定を行ったが,水準に対して被験者数が少なく検定を行うことができないこともあったが,おおむね条件間ごとの差を吟味することができ,意義のある結論を得ることができた。年度内に論文投稿を行うことができなかったが結論の大筋は完成したので速やかに執筆して投稿を行い,住宅トイレでの排泄行為時における生理的負荷を軽減する温熱環境創出に向けた一助となる提案を行う。
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