本研究は、これまでの実証的色彩調和論と比較して、色彩調和(配色の好み)をより高い精度で説明する予測式を作成すること、およびその知見をベースに、インテリア配色の好みを同程度に高い精度で説明する予測式を作成し、カラーデザインエイドのプロトタイプを作成することを目的としている。 初年度に当たる平成26年度には、3色で構成された抽象的配色120サンプルを用いた評価実験を実施し、評価の理由を用いた配色の好み表現に可能性を見出した。平成27年度には、システマティックに構成した685サンプルの評価結果を用いて、配色の好ましさと関連する理由、およびそれらの理由が挙げられる配色の特徴を探求した。平成28年度は、そのサンプル数を増やし、トーンの組み合わせの効果と、それだけでは表せない色相の特徴という2段階の表現に可能性が見られることを明らかにした。この表現方法は、配色サンプルの特徴→その特徴の解釈→配色の好ましさ評価という評価構造を外在化させることができるため、デザイナー等の利用者にも理解しやすいというメリットがある。 平成28年度は、インテリアの印象を表す用語を検索語としてインターネット上から収集した画像をベースに3種類の評価実験を実施した。呈示したのは、①収集したインテリア画像、②そこから抽出した配色を用いてカラーシミュレーションしたインテリア模型画像、③カラーシミュレーションした抽象的配色画像である。これらの比較を通じ、好みの印象がどのように変化するかを把握し、その要因について考察した。 当初、視線情報を配色の好み判断のメカニズムを切り分ける手掛かりとすることを考えていたが、抽象的配色画像、インテリア模型画像共に充分な対応関係を見出すことができなかった。
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