研究課題/領域番号 |
26350084
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研究機関 | 平安女学院大学 |
研究代表者 |
栗本 康代 平安女学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20410954)
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研究分担者 |
岩間 香 摂南大学, 外国語学部, 教授 (50258084)
植松 清志 大阪市立大学, その他の研究科, 教授 (50340881)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 京都御所 / 近世 / 女官 / 住生活 / 寛政度造営 |
研究実績の概要 |
本研究は、宮廷文化で大きな役割を果たしていた女官の住生活に焦点を当てて、京都御所研究の中でも等閑視されてきた、近世における女官の住生活空間について明らかにすることを目的としている。具体的には、実地調査と文献調査に基づきながら、本研究の4つの課題である①近世における女官の住生活空間の建物配置と平面の変遷、②近世における女官の住生活、③近世における女官の住生活空間の室内意匠、④寛政度内裏における女官の住生活空間の設計過程、について重点的に明らかにする。 本研究の方法は、資料の調査収集と分析、現地調査、考察に大別できる。平成27年度は2年目に当たり、前年度までに調査収集した内裏造営・女官関係資料の分析に力点を置いた。すなわち、前年度に収集した「御湯殿の上の日記 寛政9年正月」「御湯殿の上の日記 寛政9年2月」などの古文書8点の解読およびデータ入力を、研究協力者(古文書の専門家)の協力を得て終了した。また、過去に収集した、寛政度内裏の造営日記である「造内裏御指図御用掛り御用并自分記」から、もう一つの造営日記である「造内裏御指図御用記」に記載のない日の記事を抽出して、解読およびデータ入力する予定であったが、同日の記事に差異が見られたため、すべての記事を解読およびデータ入力することにし、7割まで進捗した。資料の追加調査として、宮内庁書陵部宮内公文書館で、内裏造営関係資料を閲覧し撮影した。聖護院の現地調査では、京都御所から下賜された女官の住生活空間は取り壊されたことが判明したが、宝永度内裏が焼失したために次の寛政度内裏造営中に仮皇居となった、宸殿とその調度などを確認した。そして、前年度に宮内庁書陵部で収集した、内裏の御道具に関する資料に基づいて、近世の女官の生活空間における御道具について考察し、平成28年度日本建築学会大会・学術講演会研究発表に応募した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、前年度までに調査収集した内裏造営・女官関係資料の分析に力点を置き、古文書の解読とデータ入力は当初の計画以上に進展している。また、宮内庁書陵部で資料の追加調査を行い、近世に仮皇居となった聖護院の現地調査を行った。そして、近世の女官の生活空間における御道具について考察し、平成28年度日本建築学会大会・学術講演会研究発表に応募した。しかし、京都御所・泉涌寺の建物遺構の現地調査と論文の執筆は、時間の制約で課題として残った。これらの総括から、「おおむね順調に進展している」との自己評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今までに調査収集した内裏造営・女官関係資料のうち、まだ終えられていない「造内裏御指図御用掛り御用并自分記」の解読およびデータ入力を、必要に応じて研究協力者(古文書の専門家)の協力を得て、早期に終える。また、建物遺構の現地調査の準備も早期に行う。そして、調査収集した資料の分析と考察を進め、考察で得られた結果を論文にまとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
宮内庁書陵部での内裏造営・女官関係資料の閲覧・収集が、予定していた2回ではなく1回で終えられたため、当初の見込みよりも旅費がかからなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、翌年度分として請求した助成金と合わせて、主に研究協力者(古文書の専門家)の古文書の解読およびデータ入力のための謝金と、建物遺構の現地調査のための旅費として使用する。その他、朝廷関係の最新刊の書籍、資料の整理に必要な消耗品などに使用する計画である。
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