野菜ゲル調製において野菜の種類を変えて検討した結果、ニンジンゲルではピューレが50%、しぼり液38.4%、RO水は0、ジャガイモゲルではピューレ60%、しぼり液0、RO水28.4%、ダイコンゲルではピューレ88.4、%しぼり液、RO水ともに0とする配合が物性的に適していた。ジェランガム1.0%、乳酸カルシウム0.6%、乳酸カルシウム溶解用RO水10.0%は共通であった。ニンジンを用いて野菜ゲルの冷凍耐性を調べたところ、冷凍後解凍してから加熱したものと、冷凍後解凍せずに加熱したものの間に有意差はなかったが、いずれもゲルの硬さは約50%に減少した。1%NaCl溶液では水よりも重量減少および硬さの減少が大きい傾向にあった。ニンジンのみ、あるいはジェランガムゲルのみを冷凍したものは離しょうや変形が大きく冷凍耐性がなかった。乾燥耐性を調べるためにニンジンゲルを減圧乾燥した結果、収縮が大きく、乾燥ゲルは吸水しにくいため短時間で水または湯戻しすることが難しいことがわかった。次にニンジンゲルを凍結乾燥した結果、ゲルは約10%重量が減少したが、大きさはほとんど変わらず、色は白っぽくなった。凍結乾燥ゲルを沸騰水で加熱すると元のゲルの70~100%に復元し、加熱後は硬さの減少が凍結乾燥前の52~70%程度にとどまり、ジェランガムゲルだけのときより凍結乾燥耐性が大きかった。冷凍および凍結乾燥処理後に湯戻しする場合はニンジンゲル調製時にニンジンピューレ70%、しぼり汁0とすると硬さの復元率が大きく、耐性にニンジンの繊維が関与していた。調味液で加熱可能なニンジン、ジャガイモおよびダイコンゲルを用いて煮物やシチューなどの調理品を調製した結果、いずれも外観、味、テクスチャーともに適度な状態に仕上がり、本野菜ゲルは形が保持され軟らかい新食材として高齢者、介護者に適した食材としての応用可能性が示唆された。
|