研究課題/領域番号 |
26350094
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
野間 誠司 佐賀大学, 農学部, 准教授 (40392071)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 食品と貯蔵 |
研究実績の概要 |
これまでに、Monoglycerol monocaprate(MC10)やMonoglycerol monolaurate(MC12) のようなグリセリン脂肪酸エステルと加熱下でのカーボネーション処理(液体食品に二酸化炭素を加圧溶解させる処理, CH 処理)の併用により、Bacillus subtilisやGeobacillus stearothermophilus 胞子を劇的に殺菌できることを見出した。本研究ではまず、使用する乳化剤の範囲を広げ、CH 処理と併用したときの殺菌効果および静菌効果をBacillus subtilisを用いて調べた。その結果、併用時に殺菌効果が明確に増加するのは、高い静菌効果を示したグリセリン脂肪酸エステルを使用した場合であった。ショ糖脂肪酸エステルについては併用殺菌効果、静菌効果ともに顕著ではなかった。 次に、高い併用殺菌効果が得られる機構を調べる一端として、胞子からのジピコリン酸の放出を調べた。その結果、MC10は未処理胞子のジピコリン酸放出を抑制する作用があることが分かった。これまでの研究結果を考慮すると、CH処理によってMC10の胞子内への侵入が進み、より多くの胞子について、その後の培養時における発芽を抑制した結果、高い併用殺菌効果につながったと推察された。 一方これまでに、上記併用処理によってB. subtilis胞子の耐熱性が顕著に低下することを見出している。そこで、MC10やMC12とCHの併用処理後に再加熱処理を行った結果、条件によっては滅菌レベル(1/100万)に迫る殺菌効果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画していた実験については、再現性の確認および研究者の異動等で進捗がやや遅れており、データを発表できる段階までに整理できていない。しかしながら、28年度に行う予定の実験をすでに行い、過去のデータと合わせて論文を投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
研究の順番にこだわらず、3年間で予定していた実験を遂行するようにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、顕微鏡観察用カメラ(12万円程度)を購入する予定であったが残金が不足した。そこで、本年度、緊急に使用する予定がなかった13,979円を来年度に繰り越し、来年度予算と合わせて購入することにした。
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次年度使用額の使用計画 |
顕微鏡カメラ(12万円程度)を購入する資金の一部にする。
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