研究実績の概要 |
過去の研究により、Monoglycerol monocaprate(MC10)やMonoglycerol monolaurate(MC12) のようなグリセリン脂肪酸エステルと加熱下でのカーボネーション処理(液体食品に二酸化炭素を加圧溶解させる処理, CH 処理)の併用により、Bacillus属細菌胞子やGeobacillus stearothermophilus 胞子を効率的に殺菌可能であることを明らかにしている。 本研究ではまず、この併用処理の殺菌挙動(MC10濃度、殺菌処理時間および温度依存性)を調べた。その結果、CH(80℃, 5 MPa, 15 min)の殺菌効果はMC10の濃度(0.01-0.05%)依存的に増加した。比較で行った加熱処理(HT; 80℃, 15 min)においてはMC10の濃度に関わらず殺菌効果が認められなかった。B. subtilis胞子のCH処理による死滅速度は、MC10(0.05%)添加により増大すること、温度変化による死滅速度の変化はMC10存在下で小さくなることが示唆された。また、CHとHTは濃度0.004%以上のMC10と併用すると同程度の静菌効果を示した。 MC10(0.05%)とCHの併用処理後に未処理の約6倍のDPA放出、DAPI染色性の獲得が認められ、MC10とCHの併用処理によって胞子が発芽していると推察された。
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