研究実績の概要 |
過去に、Monoglycerol monocaprate(MC10)やMonoglycerol monolaurate(MC12) のようなグリセリン脂肪酸エステルと加熱下でのカーボネーション処理(液体食品に二酸化炭素を加圧溶解させる処理, CH 処理)の併用(併用処理)が、Bacillus属細菌胞子やGeobacillus stearothermophilus 胞子に対して高い殺菌効果を示すことを明らかにした。本研究では、殺菌効果の向上を最終目標とし、胞子の耐性に関与する因子の検討を行った。 細菌胞子は、非致死的な加熱処理により活性化し、発芽しやすい状態に変化することが知られている。そこで、加熱活性化が併用処理に対する耐性を調べた。その結果、加熱活性化は併用処理に対する耐性には関与していないことが示唆された。次に、併用処理後に生残した胞子を再度同様に併用処理した結果、生残胞子数の低下はほとんど認められなかった。この生残胞子を培養し、再度胞子を形成させたものを併用処理した結果、高い耐性を示すわけではなかった。したがって、併用処理後に生残する胞子の高い耐性は遺伝的に高い耐性を有するものではないと推察された。一方、3種類の組成が異なる培地で胞子を形成させた結果、耐性の異なる胞子が得られた。これらの胞子からタンパク質を抽出し、SDS-PAGEに供した結果、耐性が高い胞子において濃度の高いバンドが得られた。
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