研究課題/領域番号 |
26350097
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研究機関 | 新潟県立大学 |
研究代表者 |
立山 千草 新潟県立大学, 人間生活学部, 准教授 (50217006)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 食用ぎく / 味覚センサー / ポリフェノール |
研究実績の概要 |
現在、各地で地域伝統食品を見直す動きがあるほか、日本の食に対する世界の関心が寄せられるにつれて、それらを支える伝統食材に期待が寄せられている。秋冷の頃に香りや彩りを楽しめる新潟、山形をはじめとする東北地方で多く食される菊の花びら(以下、食用ぎく)」についても興味をもたれている伝統食材のひとつである。食用ぎくは、全国で60品種ほど栽培されているが、分類学的には観賞用と同じキクに分類される。食用として利用されている食用ぎくの多くは、苦味が少なく、花びらが大きくなるように品種改良されたものである。食用ぎくのおいしさは、しゃきしゃきとした歯ごたえと、ほのかな香り、そして甘さとほろ苦さにあると称されている。しかしながら、多くの場合地域伝統食材は、その食材に強い関心が寄せられていても、限られた地域で栽培・生産され、収穫時期も限定されているなど風物詩として利用される場合が多く、食味の特徴に基づいた客観的な品質評価される機会に恵まれなかったと判断できる。食用ぎくについてもその呈味特徴その構成に寄与する成分につても不明な点が多い。そこで、本研究では、食用ぎくの甘さとほろ苦さに着目して、食用ぎく呈味成分について成分分析を行なうと同時に味覚センサー装置を用いて客観的な食用ぎくの味の特徴について検討を試みることとした。その結果、食用ぎくの甘さとほろ苦さ、すなわち苦味渋み関連成分に関連する化学成分としてあげられるポリフェノール総量、ポリフェノール類のクロロゲン酸類、ルテオリン類、アピゲニン類について成分の有無、含有量について測定を実施し、得られた結果から分類を花弁の色の違いから試みることができた。呈味について味覚センサー装置を用いて測定した結果、花弁の形状・色に関わらず共通の味項目を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的に計画していた実験を実施することできた。しかしながら、同品種であっても採取時期、採取場所によって試料の変動幅が大きいため、詳細な解析は困難であった。そのため、新潟市の特産品である赤紫花弁のかきのもと、黄色花弁の唐松系の食用ぎくおよび特徴ある花弁に分けて各種ポリフェノール成分の有無をもって、各種食用ぎくの特徴について検討を実施した。今後、花弁の色の違いに視点を置いて食用ぎくの呈味成分に関する検討を展開する。
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今後の研究の推進方策 |
ひきつづき食用ぎくの呈味成分の特徴について、新潟市の特産品である赤紫花弁のかきのもと、黄色花弁の唐松系の食用ぎくおよび特徴ある花弁に分けて検討を進める。なお、農産物は一般的に品種、農地、気候などの影響を受けて栄養成分の変動が認められるので、食用ぎくについて、五訂増補日本食品成分表分析マニュアルに基づいた一般成分(エネルギー、水分、たんぱく質、脂質、灰分、炭水化物、エネルギー、ナトリウム)分析をおこなう。また、味覚センサー評価結果から、酸味・塩味項目は、ヒトにほとんど影響を及ぼさないレベルの値が示されたので、苦味・渋味・甘味・旨味関連物質を中心に検討を進めていくこととする。さらに、キクは古くから生薬として利用されておりその利用部位は限定されていないことから、食用ぎくの花弁部位以外の利用も視野に捉えて検討を深めていく。
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