研究課題/領域番号 |
26350100
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
鈴木 利雄 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 客員教授 (80511310)
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研究分担者 |
尾崎 嘉彦 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (00455312)
岸田 邦博 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (30412703)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | βグルカン / 包接 / p-クマル酸 / ポリフェノール / 動物評価モデル |
研究実績の概要 |
オリジナル菌株である黒酵母菌(Aureobasidium pullulans K-1株)を用いて、β-1,3-1,6-グルカン(以後、本βグルカンと省略する)の発酵生産性向上を指標に培養条件の検討を行った。その結果、チャペック培地に0.02%の極少量の酵母エキスを添加することでその生産性は向上した。また、シュークロースの添加によりグルカンの生産量(変換量は10-15%)も増加した。得られたβグルカンはNMRで分析した結果、同一の構造を有することを確認した。 本βグルカンを用いて、p-クマル酸の水溶性を向上させるための基礎的な検討を行った。p-クマル酸をその溶解度を超える濃度で、βグルカン等の分散剤を含む水溶液に懸濁させ超音波処理した後、遠心分離により不溶物を除いた上清に含まれるp-クマル酸を定量する方法により溶解性を評価した。この系を用いて、0.2%のβグルカンあるいはα、β、γ-サイクロデキストリン添加効果を評価したところ、βグルカンはサイクロデキストリンと同程度の溶解性の向上作用を示した。一方、アルキルアミンとして0.01%のアルギニンを添加し、同条件で保持した場合には有意な溶解性の向上は認められなかった。 ポリフェノール水溶液安定技術の評価方法のひとつとして、動物モデルによる吸収性を指標としたアッセイの構築を検討した。Wistar系ラットにp-クマル酸をプロピレングリコールに溶解させたものを投与し、代謝ケージを用いて尿を回収した。投与溶液のp-クマル酸濃度は、5mg/ mLとし、投与量は30 mg/kg BWとした。投与後7時間までに投与したp-クマル酸の約35%が回収され、投与後7~24時間には約2%が回収された。投与後24時間以降にはp-クマル酸は検出されなかったことから、今後β-グルカンを用いた試験では、投与後24時間までの尿を回収し吸収性を評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.得られるβグルカンの発酵生産法は構築できたが、スケールアップ検討が未だ終わっていない。 2.p-クマル酸のβグルカンによる可溶化は可能となったが、その包接評価法の構築ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
βグルカンのさらなる生産性ならびにその包接物性向上を目的として、人為的変異法(UV照射、EMS処理、RI照射)により数種の変異株を取得した。その性質(生産性、βグルカンの包接物性)について検討を行う。さらに数Lスケールでの安定生産法の構築を行う。 βグルカンを添加することで、p-クマル酸の溶解性が向上した。p-クマル酸の定量精度を向上するため、Folin-ciocalteu法からUV法によるダイレクト測定およびHPLC分析に切り替える準備を進める。次いで、p-クマル酸包接評価系の構築を行う。 動物モデルによる吸収性評価アッセイは、今年度の実績より、p-クマル酸投与後0~7時間、7~24時間における尿を回収して吸収性を評価する。コントロールとしてプロピレングリコールに溶解させたp-クマル酸を用い、評価試料としては、β-グルカンに分散あるいは包接させたp-クマル酸を用いる。
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次年度使用額が生じた理由 |
H26年度では、研究計画を予定していたβグルカン発酵生産法は確立できたが、数リッターレベルでのスケールアップ検討が実施できていない。そのため、主に培地費用や精製に必要な膜等の消耗品購入に当てる費用が未使用である。 H27年度は、上記研究計画に加えて当初予定していたβグルカン/p-クマル酸包接体の効果的な調製法の構築とそれらを用いた動物での試験評価を行う。
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度は主に次の1-3)の費用項目を予算化している。 1)βグルカン発酵生産における数リッターレベルのスケールアップ検討費用(培地代など)、およびその精製検討費用とそれに必要なろ過膜等の消耗品類の費用、およびβグルカン製造外注費(スプレードライなど想定)。2)βグルカン/p-クマル酸包接体の効果的な包接法の構築検討費用とその調製費用(外注費)、それを用いた動物試験費用。3)学会等参加による情報収集と技術調査および打合わせに係る旅費および交通費などの諸費用。
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