研究課題/領域番号 |
26350100
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
鈴木 利雄 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 客員教授 (80511310)
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研究分担者 |
尾崎 嘉彦 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (00455312)
岸田 邦博 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (30412703)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | β-グルカン / p-クマル酸 / ヒドロキシケイ皮酸 / βクリプトキサンチン / 吸収性 / 可溶化 |
研究実績の概要 |
三重らせん構造を有するβ-グルカンは、物理化学的な処理により超分子構造が崩れて異なる構造の変性β-グルカンに再構築されることが知られている。まず、既存株β-グルカンをNaOHと酸でアルカリ/中和処理し、変性β-グルカンの調製を行った。また、メラニン非産生変異株(アルビノ株)の1菌株に関して、β-グルカンの培養生産条件を検討した。次いでそれらを用いたp-クマル酸の可溶化について確認した。 変性β-グルカンでは最大5mg/mLの水溶液を調製できたが、未変性β-グルカンでは水溶液の高粘度性から、同濃度の水溶液を調製することが出来なかった。両者同濃度の水溶液が調製できた0.5~2mg/mLの範囲では、p-クマル酸の溶解性は変性β-グルカンの方が高くなる傾向が認められた。 可溶化したp-クマル酸の安定性にpHが及ぼす影響を確認するため、pH4.0および5.0、40℃に3日間保持したところ大きな減少は見られなかったが、pH5の方がp-クマル酸の溶解度は高く、その溶解性はpHによる影響を受けることが示された。 さらにヒドロキシケイ皮酸類以外の難溶性化合物の可溶化を検討する目的で、変性β-グルカンとβ-クリプトキサンチンとの相互作用を検討し、その吸着効果を確認した。同条件下でのβ‐サイクロデキストリンでの保持量と比較したところ、β-グルカンへの吸着量は約4倍であった。 一方、変性β-グルカン存在下で、弱アルカリ処理や超音波処理によるp-クマル酸分散液の調製も行い、その吸収性や薬物代謝への影響をラットで評価した。24時間までのp-クマル酸の尿中排泄率は32~43%で、いずれの分散条件もコントロール群(プロピレングリコールに溶解)と比べて有意な差は認められなかった。以上の結果より、変性β-グルカンにより分散させたp-クマル酸は、プロピレングリコールに溶解させたものと同様の挙動を示すことが示唆された。
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