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2016 年度 実施状況報告書

固形食品を用いた風味反応時間の研究

研究課題

研究課題/領域番号 26350106
研究機関新潟リハビリテーション大学(大学院)

研究代表者

宮岡 里美  新潟リハビリテーション大学(大学院), リハビリテーション研究科, 教授 (10465479)

研究分担者 宮岡 洋三  新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (10134941)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード食生活科学 / 咀嚼・嚥下 / 風味 / 反応時間 / 咬筋筋電図 / 呼吸 / 検知 / 認知
研究実績の概要

これまでの研究によって、1)本実験手法の信頼性は確認され、2)風味検出における呼気流の重要性が認められた。当該年度は、1)被検食品の咀嚼運動による開口と閉口が風味検出に及ぼす影響の解明、2)被検食品の改善を主に追求した。初めに、2)の必要性を述べる。本研究の実験場面では、オブラートで包んだ被検食品を被験者の臼歯間に挟ませ、咀嚼開始の指示後の適時に噛み始めさせた。オブラートによる包埋は、風味が咀嚼開始の指示前に口内へ拡散するのを防ぐためである。しかし、オブラートに違和感を覚える被験者もあり、その改善が求められた。
1)咀嚼運動が風味検出に及ぼす影響:被検食品(イチゴ・オレンジ・ブドウの風味の市販品のグミ)の自然な咀嚼時には、開口相の平均時間が0.54秒であったのに対して、閉口相のそれは0.45秒と短かった。それにもかかわらず、開口相における風味の検出割合が45%であったのに対して、閉口相におけるそれは55%と多かった。すなわち、より短い閉口相でより多くの風味検出があった(統計的有意差は認められなかった)。また、使用した3種の果汁風味間に、明確な違いはなかった。この結果から、果汁風味の検出は、咀嚼運動における閉口相に多い傾向はあるものの、呼吸運動における呼気流の影響よりも劣ることがわかった。
2)被検食品の提供法の改善:市販品による改善は困難と考え、グミに替わるゼリー菓子への果汁フレーバー添加を目指した。材料の配合割合や作製方法は、市販グミの製造者である㈱明治製菓から教示を頂いた。果汁フレーバー付きゼリー菓子を完成させ、その表面にオブラート粉末(㈱伊那食品提供)を均一に塗した。ニオイ強度の測定結果からは、オブラート粉末の塗布には一定のフレーバーの拡散抑制効果が認められたものの、粉末であってもオブラートにやはり違和感を覚える被験者もおり、さらなる改善の必要があると認識した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記(「9. 研究実績の概要」を参照)の通り、当該年度の目標である「被検食品の選定と実験手法の確立」はほぼ達成されたと考えられるため。また、風味の検出に呼吸と咀嚼との各々の運動位相が影響していることも確認されたため。

今後の研究の推進方策

上記(「9. 研究実績の概要」を参照)にも記載したように、被検食品を市販品から自家製品に切り替えた。これによって、被検食品は「呈味成分(糖、有機酸)」が固定された値をもち、かつ主たる「香気成分」を実験者が必要とする果汁の種類と濃度で設定できるようになった。予備的な実験から、使用できるフレーバーの上限濃度が果汁の種類によって異なるとわかったため、果汁の種類毎に上限濃度と濃度段階を決める。
次年度は自家製の被検食品を用いて、風味の「検知」と「認知」を経た、いわゆる閾上 (supraliminal) 刺激濃度に対する知覚の時間的な変化をTI (time- intensity analysis) やTDS (temporal dominance of sensations) などの手法も併用して解明したい。

次年度使用額が生じた理由

被検食品を市販品から自家製へと切り替える必要性が生じたが(上記の「9. 研究実績の概要」と「12. 今後の研究の推進方策等」を参照)、その完成に予想以上の外時間を要した。その結果、当初予定数の被験者を使用した本実験にまでは至らず、被験者に予定していたアルバイト代を中心に予算が残った。

次年度使用額の使用計画

上記にある理由があったため、次年度は被験者へのアルバイト代に使用するとともに、新しい官能評価システムであるTI(Time Intensity)やTDS(Temporal Dominance of Sensation)の導入にも一部予算を充てる計画である。
この手法は、主観的な感覚強度の時間的な変化を客観的に測定できるとして,近年注目されている。本研究でも、被検食品に対する一つの感覚(例えば甘味)の時間的変化を、あるいは複数の感覚(例えば、甘・酸・塩・苦の4基本味)の時系列変化を同時に測定することにより、これまで宮岡らが実施してきた風味の検知・認知の量的測定(反応時間)に質的測定を併用することが可能となる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Influence of breathing and chewing on timing of flavor detection.2017

    • 著者名/発表者名
      S. Miyaoka and Y. Miyaoka
    • 雑誌名

      Journal of Behavioral and Brain Science

      巻: 7 ページ: 1-8

    • DOI

      10.4236/jbbs.2017.71001

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] やってはいけない!認知症ケア 「食事を食べてくれない」2017

    • 著者名/発表者名
      宮岡里美
    • 雑誌名

      認知症介護

      巻: 18 ページ: 25-34

  • [学会発表] 果汁風味の検知及び認知の量的・質的評価: 咬筋表面筋電図を用いて.2016

    • 著者名/発表者名
      宮岡里美、宮岡洋三
    • 学会等名
      第22回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会
    • 発表場所
      新潟市中央区
    • 年月日
      2016-09-23 – 2016-09-24
  • [学会発表] 飲料におけるとろみ付与の違いと撹拌操作が及ぼす影響.2016

    • 著者名/発表者名
      岩森大、宮岡里美、井上誠、宮岡洋三
    • 学会等名
      第22回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会
    • 発表場所
      新潟市中央区
    • 年月日
      2016-09-23 – 2016-09-24
  • [学会発表] Timing of detecting flavors and respiratory phases.2016

    • 著者名/発表者名
      Miyaoka, S. and Miyaoka, Y.
    • 学会等名
      17th Internat. Symposium on Olfaction and Taste
    • 発表場所
      Yokohama, JAPAN
    • 年月日
      2016-06-05 – 2016-06-09
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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