・小麦粉を粉の状態でオーブン加熱すると、加熱時間が長いほどタンパク質は不溶化し、水に溶けにくくなった。SDS-PAGE分析の結果、検出されるアレルゲンタンパク質の量が加熱処理により減少していた。一方、ELISA分析の結果、水抽出液中のアレルゲン量が、加熱処理により減少していた。これらの結果も、加熱時間が長くなるほど、減少の程度が大きかった。オーブン加熱したグルテンをタンパク質源としてラットを飼育すると、糞重量が増加する傾向がみられた。 ・小麦粉を粉の状態でオートクレーブ加熱すると、水や70%エタノールへのタンパク質溶解性が著しく低下した。ELISA分析の結果、尿素とSDSを含む抽出液中のアレルゲン量が、加熱処理により減少していた。 ・デュラム小麦粉においても、同様に加熱処理の影響がみられた。また、デュラム小麦粉はタンパク質含量が高いものの、加熱処理により物性が変化しにくく、調理に応用しやすいことがわかった。
以上のことより、小麦粉を粉の状態で加熱処理することで、主要な小麦アレルゲンを不溶化できる可能性が示唆された。
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