①小麦粉を粉の状態でオーブン加熱すると、時間とともに一部のタンパク質が不溶化した。②SDS-PAGE分析の結果、検出されるアレルゲンタンパク質の量が加熱処理により減少していた。③ELISA分析の結果、水抽出液中のアレルゲン量が、加熱処理により減少していた。④小麦粉を粉の状態でオートクレーブ加熱すると、水や70%エタノールへのタンパク質溶解性が著しく低下した。⑤ELISA分析の結果、尿素とSDSを含む抽出液中のアレルゲン量が、加熱処理により減少していた。⑥デュラム小麦粉においても、同様に加熱処理の影響がみられた。⑦グルテンを粉の状態でオーブン加熱すると、抽出されるタンパク質の量が極端に減少することが、SDS-PAGE分析によりわかった。⑧ELISA分析の結果、アルコール抽出液中のグリアジンン量が、加熱処理により減少していた。⑨試験管内での消化実験の結果、加熱処理をしたグルテンは、未処理のグルテンと同様に遊離のアミノ酸が増加した。⑩動物実験において、オーブン加熱処理したグルテンをタンパク質源として摂取したラットは、体重が極端に減少した。⑪オーブン加熱処理したグルテンは、大部分が排泄されていた。⑫オーブン加熱処理群の糞は、タンパク質含量が高いにもかかわらずグリアジンがあまり抽出されなかった。
以上のことより、小麦粉を粉の状態で加熱処理することで、主要な小麦アレルゲンを不溶化できる可能性が示唆された。また、グルテンを粉の状態でオーブン加熱処理することで、溶解性が極端に低下し、吸収が阻害される可能性が示唆された。
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