研究課題/領域番号 |
26350114
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研究機関 | 中村学園大学短期大学部 |
研究代表者 |
古田 宗宜 中村学園大学短期大学部, その他部局等, 助教 (00343731)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | カンピロバクター / 食中毒菌制御 / バクテリオファージ |
研究実績の概要 |
本研究では、鶏肉によるカンピロバクター食中毒リスクの低減のため、カンピロバクターに特異的に感染し溶菌するバクテリオファージ(ファージ)を分離し、それらを用いて鶏肉におけるカンピロバクター制御法を構築することを目的とする。 本研究の遂行にはカンピロバクター特異的ファージの分離が最も重要であるため、まず、ファージの効果的な分離法について検討した。その結果、鶏試料に増菌培地を加えた後、ファージ感受性が高いカンピロバクター菌株を宿主菌として接種し、培養した培養液から高率にファージが分離されることがわかった。この分離法を用いて市販鶏肝および鶏肉から29株のファージを分離することができた。分離されたファージは純化操作を行った後、SMバッファー中で冷蔵保存した。次に、分離されたファージの性状について、溶菌スペクトル検査および透過型電子顕微鏡による形態観察を行った。溶菌スペクトル検査では、まず、使用するカンピロバクター菌株53菌株(C. jejuni 48株、C. coli 7株)について、RAPD法およびリボタイピング法による遺伝子型別を行った。2種類の遺伝子型別を行うことで、菌株を詳細に分類することができた。これらの菌株を用いて溶菌スペクトル検査を行った結果、ファージによってC. jejuniに対して溶菌スペクトルに差が見られた。しかし、C. coli に対しては全てのファージで溶菌反応は認められなかった。また、5株のファージについて、透過型電子顕微鏡による形態観察を行った。その結果、いずれのファージもミオウィルス科であることが確認された。次に最も広い溶菌スペクトルを示したファージについてin vitroにおいてカンピロバクターに対する殺菌効果を調べた。その結果、ファージ接種後8時間後には、初発菌数と比較して1ケタ程度菌数を減少させることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度はカンピロバクター特異的ファージを効果的に分離する方法を確立した。この分離法を用いて、市販鶏肝および鶏肉からファージを分離した。さらにこれらのファージの性状について、溶菌スペクトル検査および形態観察を行った。最も広い溶菌スペクトルを示したファージについてはin vitroにおけるカンピロバクターの殺菌効果について検証した。 以上のことから、平成26年度の研究は計画通りに進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き分離されたファージについてin vitroにおける殺菌効果など性状解析を進める。それらの結果から制御剤として適切なファージの組み合わせを検討する。その後、カンピロバクターを接種した鶏肉を用いて、選別したファージ混合物による効果的なカンピロバクター制御法を検討する。構築した制御法を実際に市販鶏肉に応用し、その効果を検証する。さらに時間的な余裕があれば、カンピロバクター迅速検査法としてファージの特異性を利用した表面プラズモン共鳴(SPR)法の開発を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は若干(293円)の次年度使用額が生じため次年度に使用する。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度はカンピロバクターおよびファージ検査に必要な培地類、プラスチック器具類、同定キット、一般試薬類および鶏肉接種実験に使用する鶏肉類の購入費に加えて、成果発表旅費、論文作成に必要な経費として使用する。
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