研究課題
1. 中高年女性における口腔内脂肪酸感受性・脂肪嗜好性・脂質摂取量に対する閉経の影響中高年女性を対象に、口腔内オレイン酸閾値、脂肪嗜好性を測定し、脂肪濃度ランキング試験を実施した。さらに、実験室での食事および食事調査から脂質摂取量を調べた。その結果、閉経後女性は閉経前女性に比べ、口腔内オレイン酸感受性が低値を示すことが分かった。しかし、脂肪嗜好性、脂質摂取量には両群で差はなかった。一方、体重には両群間で差がなかったが、体脂肪率は閉経後女性の方が高い値を示した。また、口腔内オレイン酸の閾値と体脂肪率は負の相関関係が認められた。従って、閉経は口腔内オレイン酸閾値を低下させ、体脂肪率を増やす可能性があるが、脂質摂取量には影響しなかった。2. 雌性ラットにおけるエストロゲンの口腔・消化管における脂肪センシングを介した摂食調節作用1)口腔内、胃内、静脈内への脂肪乳剤投与による脂肪摂食抑制に対するエストロゲンの作用:卵巣摘出ラットを用い、胃内ゾンデ、留置カテーテルを介して口腔・胃・上大静脈へ脂肪乳剤(イントラリポス)を投与し、その後30分間の高脂肪食摂取における抑制効果をプラセボ群とエストロゲン補充群で比較した。その結果、エストロゲンは口腔内の脂肪乳剤刺激で高脂肪食の摂食抑制を増大させるが、胃内・静脈内投与ではその作用が発揮されないことが示唆された。これは脂肪酸受容体発現の差に起因すると考えられた。2)口腔内脂肪乳剤刺激後の血漿グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)・コレシストキニン(CCK)の変化:血漿GLP-1濃度は、安静時レベルに両群間の差はなかったが、摂食開始後30分目ではエストロゲン補充群でのみ上昇した。また、血漿CCK濃度は両群とも30分目に増加したが、エストロゲン補充群では増加反応が大きく、エストロゲンの摂食抑制作用におけるCCK/GLP-1の関与が示唆された。
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実験医学
巻: 35 ページ: 945-950
Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol
巻: 311 ページ: R898-R905
10.1152/ajpregu.00415.2015.