本研究では不飽和脂肪酸の摂取によるうつ病の予防と治療の可能性を検証した。うつ病患者の脳内では多価不飽和脂肪酸量が低下していることやオリゴデンドロサイトが欠落しているという報告がある。本研究では、オリゴデンドロサイトに着目し、不飽和脂肪酸がオリゴデンドロサイトの分化に与える影響を検討した。また、ヒトの赤血球膜脂肪酸とうつ症状との関連を検討した。オリゴデンドロサイト前駆細胞の成熟は多価不飽和脂肪酸により濃度依存的に促進された。ストレス負荷ラットに多価不飽和脂肪酸を投与すると、ストレスが軽減された。以上のことから、不飽和脂肪酸の摂取は、うつ病の重症化を予防する効果が認められた。
|