研究課題/領域番号 |
26350124
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
首藤 恵泉 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 講師 (10512121)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 慢性炎症 / メタボリックシンドローム / イソフラボン |
研究実績の概要 |
近年、メタボリックシンドロームの発症機構に、免疫細胞であるT細胞が根本的な病態をコントロールしていることが報告され、様々な生活習慣病は「慢性炎症」から生じているという概念が注目されている。これまで我々は大豆イソフラボンの免疫調節作用を明らかにしてきたことから、メタボリックシンドロームの発症に関わるT細胞を介した「慢性炎症」をターゲットとし、大豆イソフラボンが脂肪組織に浸潤するT細胞およびマクロファージの分化極性を制御するメカニズムを解明することにより、食品機能成分による新たなメタボリックシンドロームの予防および治療法の開発に向けた応用研究に貢献するとともに、新たなメタボリックシンドロームの発症機序を解明する基礎的研究を行うことを目的とする。 肥満は、全身性の糖代謝や脂質代謝、インスリンやアディポカインなどの内分泌ホルモン等、分子機構が複雑に絡み合っており免疫学的に検討をするのは困難であることから、初年度は、疾患の基盤病態に炎症が関与していることが明らかとなっている実験的自己免疫性脳脊髄炎マウス(EAE)を作成し、大豆イソフラボンを経口投与し、臨床症状を評価するとともに、マウスの脾細胞における培養上清中Th1細胞およびTh2細胞由来の炎症性サイトカインをELISA等により測定するとともに、フローサイトメトリー法により抗原特異的なTh1細胞をおよびTh2細胞の機能解析を行い、これら細胞が産生するサイトカインプロファイルについて解析を行った。 今年度は、肥満に伴い脂肪組織に浸潤するT細胞およびマクロファージへの大豆イソフラボンの効果について解析することを試みた。食餌誘導性肥満マウスを作成するとともに大豆イソフラボンを経口投与し、小動物用CTを用いた身体的評価、組織学的評価等を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高脂肪食により食餌誘導性肥満マウスを作成するとともに大豆イソフラボンを経口投与した。本学学内の総合研究支援センター動物資源研究部門において設置されている小動物用CTを有効活用することにより、内臓脂肪などの体組成を評価することができた。さらに、計画していた生化学的評価、組織学的評価等を行うことができた。また、フローサイトメトリー法により精巣上体脂肪に浸潤したマクロファージの解析を行うとともに、遺伝子発現についても同様に評価した。
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今後の研究の推進方策 |
肥満は、全身性の糖代謝や脂質代謝、インスリンやアディポカインなどの内分泌ホルモン等、分子機構が複雑に絡み合っておりコントロールマウスを用いて免疫学的に検討をするのは困難である。 そこで、今年度は、自然発症型肥満モデルマウスなど、発症機序が確立されており、かつ汎用されている肥満モデルマウスを用いる。さらに、エネルギー比率の異なる高脂肪食を用いることにより、食事内容との関連性を解明することを試みる。これらを昨年度と同様に解析することにより、大豆イソフラボンが脂肪組織に浸潤するT細胞およびマクロファージの分化極性を制御するか解明する。またそのメカニズムを解明することを試みる。特に、本年度は、フローサイトメトリー法および組織学的評価を用いることに力を入れて、脂肪組織に浸潤するT細胞およびマクロファージの分化極性を制御するメカニズムを解明することを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、学内の総合研究支援センターの機器を有効活用することにより、計画していたマウスの身体的評価、組織学的評価、脂肪組織に浸潤したマクロファージの機能解析など、予算内で行うことができた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、いくつかのモデルマウスを用いることにより様々な肥満マウスを作成し、肥満に伴う慢性炎症について、大豆イソフラボンが脂肪組織に浸潤するT細胞およびマクロファージの分化極性について制御するメカニズムを解明することにより、食品機能成分による新たなメタボリックシンドロームの予防および治療法の開発に向けた応用研究に貢献するとともに、新たなメタボリックシンドロームの発症機序を解明する基礎的研究を行うことを目的とする。
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