研究課題/領域番号 |
26350128
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研究機関 | 十文字学園女子大学 |
研究代表者 |
中村 禎子 十文字学園女子大学, 研究所, 研究員 (60382438)
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研究分担者 |
森田 茂樹 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (00220062)
奥 恒行 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 客員教授 (50010096)
田辺 賢一 長崎県立大学, 看護栄養学部, 助教 (60585727)
大曲 勝久 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (90244045)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 難消化性糖質 / 腸内細菌 / 水素ガス / 老化 / 抗酸化能 / 肝障害 |
研究実績の概要 |
難消化性糖質が腸内細菌の代謝を受けることによって産生する代謝産物のうち、水素ガスの生理機能や血中濃度についてはほとんど明らかにされていない。食物繊維や難消化性オリゴ糖などを経口摂取すると、腸内細菌がこれらを利用することによって水素ガスが産生される。この腸内細菌由来水素ガスは、血流を介して肝臓ならびに末梢へ運搬される。本研究は、生体内における腸内細菌由来水素ガスの抗酸化作用が、疾病の症状改善や加齢に伴う認知機能低下へ及ぼす影響を明らかにする。 本年度は、まず、難消化性糖質摂取による急性ならびに慢性肝障害の症状軽減作用へ及ぼす影響を明らかにするために以下の実験を実施した。 過剰鉄を投与した急性肝障害モデルラットを用いた実験では、難消化性糖質含有飼料群の肝障害の程度は、血液生化学指標ならびに肝臓組織学的観察の双方において、難消化性糖質非含有群に比較して有意に軽症であった。また、薬物起因性肝障害ラット(対照)においては、難消化性糖質含有飼料群と非含有群とに統計的有意差は観察されなかった。これらの結果についての再現性実験においても同程度の結果が得られた。鉄は酸化ストレスを惹起する物質であることから、難消化性糖質の摂取による抗酸化の関連性が示唆された。 また、慢性肝障害モデルラットを難消化性糖質含有飼料と非含有飼料で8週間飼育し、8週目に水素ガスのラット対外排出を測定した結果、難消化性糖質含有飼料群で有意に高値を示した。肝障害の程度については現在測定を行っており、必要に応じて再現性を確認するための実験を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進捗した要因として、①本研究を実施するに当たり、事前に予備実験を行っていたこと、②ほぼ計画の通りに進められたこと、③研究分担者の役割分担が明確であり、チームワークを重んじて各々が速やかに対応したことによると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降については、これまでの計画を大きく変えないで進める予定である。 次年度は、本年度に実施した慢性肝障害モデルラットを用いた実験から得られたサンプルについて、予定の通り測定する。その後、必要に応じて再現性を得るための実験、あるいは、試験物質の濃度を変えた実験を実施する。さらに促進老化を示すモデル動物である老化促進マウスSAMP8をフラクトオリゴ糖5%含有飼料で約45週間飼育し、腸内細菌由来水素ガスの生体へ及ぼす影響を対照飼料群と比較・検討する実験に取り組む。また、ヒトを対象とした実験の準備ならびに予備実験を行う。 動物モデルの実験では、肝臓およびその他の組織学的観察を重点的に実施するため、そのエキスパートを新たに研究分担者に加えて組織としての実験実施、解析ならびに考察の能力を向上させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費、ならびに旅費について、予定金額からの割引等により次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度には研究内容をさらに充実させる目的で、研究分担者を1名増やしたため、この研究者が使用する物品費の一部として使用する。また、物品の補充および旅費の一部として使用する予定である。
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