研究課題/領域番号 |
26350130
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
佐藤 夏子(三戸夏子) 麻布大学, その他部局等, 准教授 (30398888)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肥満 |
研究実績の概要 |
肥満誘導後にエネルギー制限により体重減少させた減量モデルマウスを作成し、食餌リズムが減量の効果及び予後に与える影響について検討することを目的とした。肥満やメタボリックシンドロームの病態では、脂肪細胞からのアディポカイン産生や脂肪組織に浸潤した免疫系細胞からの炎症性因子の産生が亢進し、全身性に軽い炎症が惹起されている。しかしながら、食事制限によって体重が減少した場合、肥満によって変化した血中の炎症性因子がどのように変動するのか明らかではない。また、朝型・夜型の生活が減量に及ぼす影響も明らかではない。そこで本年度は、高脂肪食によってマウスに肥満を誘導した後に普通食に切り替えることよって体重を減量させ、肥満の病態や血中因子における変化について基礎的な検討を行った。 6週齢のC57BL/6マウスをHF群とN群の2群に分け、HF群には高脂肪食(HFD-60)、N群には普通食(AIN-93G)を与えた。飼育16週間目にHF群をHF群とHF-N群の2群に分け、HF-N群は高脂肪食から普通食に切り替えた。飼育25週目に解剖を行い、脂肪組織、肝臓、及び脾臓重量を測定した。また血液から血清を採取し、レプチン、インスリン、及びMCP-1の測定を行った。 HF群はN群と比較して有意に最終体重が増加したが、HF-N群はN群と比較して有意な差を示さなかった。脂肪組織及び脾臓重量についても同様の傾向が認められた。また、血中レプチン値も体重と同様の傾向を示したが、血中インスリン値はHF-N群が最も高い値を示した。MCP-1については3群間に有意な差は認められなかった。 エネルギー制限によって体重や脂肪組織が減少しても血中因子は同様に変動しない可能性がある。エネルギー制限のタイミングや期間について、その他の肥満によって変化する血中因子についてもさらなる検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生活習慣病の発症には栄養素の過不足だけでなく、食事時間や食行動・食習慣など含む様々な食生活リズムが密接に関与することが示唆されている。しかしながら、現代社会における人の睡眠及び食生活リズムは多様であり肥満との関連には未解明な部分が多い。そこで本年度の研究では、食餌誘導性肥満モデルマウスを用いてエネルギー制限が肥満の病態及び血中因子の変動に及ぼす影響について基礎的な検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
現代社会における人の睡眠及び食生活リズムは多様であり、肥満との関連には未解明な部分が多い。そこで本研究では、肥満のモデルマウスを用いた実験的な解析と人を対象とした食事及び睡眠関連調査を行い、肥満における「睡眠及び食事リズム」の関与を科学的に明らかにする予定である。今後は人における睡眠と食事に関する検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
測定予定であった血中因子の一部が測定できなかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当該年度に実施した研究の解析を続ける。また、申請者は所属機関の変更を行ったため、新たな所属先で本研究の継続に必要な物品の購入を行う。さらに次年度は人を対象としたデータ解析も予定しているため、その解析に必要な機器を購入する。
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