研究課題/領域番号 |
26350133
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研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
大原 直樹 金城学院大学, 薬学部, 教授 (20426422)
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研究分担者 |
太田 亮 一般財団法人食品薬品安全センター秦野研究所, その他部局等, 研究員 (70426427)
内藤 由紀子 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80426428)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 植物油 / 生殖器毒性 / テストステロン / アルドステロン / カノーラ油 |
研究実績の概要 |
前年度までに、雌性SHRSPのカノーラ油摂取による短命化および毒性兆候が雄と類似しているが軽度であることを確認した。しかし、この性差が著しかったため、施設間差異の可能性を排除するため、同一施設で雄性SHRSPの生存日数に及ぼすカノーラ油の影響を追加確認した。その結果、生存日数に及ぼす影響には性差が著しいことが再確認された。カノーラ油には生殖器毒性があり、雄では精巣毒性(ステロイドホルモン生成に関わるCYP11a等の酵素への影響)が顕著であることが、遺伝子レベル、タンパク質レベルで証明された。雌に於いても卵巣での性ホルモン生成およびその合成に関わる酵素に対し、遺伝子レベル、タンパク質レベルで有意な変化が見られた。従って、カノーラ油の毒性の本体が生殖器を標的としたものであることが明確になった。しかし、毒性に性差が見られる原因がどこにあるかは確認できていない。テストステロンレベルが低下し、平行してアルドステロンレベルが上昇するという、雌雄共通の効果が見られたものの、雄では顕著なアルドステロンレベルの上昇がSHRSPの遺伝的背景病態の増悪に関与している可能性がある一方で、雌では雄ほど顕著な短命化が見られず、病態の悪化も軽度であったことは、テストステロンとアルドステロンの間にそれらのレベルを相互に調節する機構があり、さらに、雄では、心・血管系の機能調節にはこの機構が深く関わっているが、雌ではそれが異なる可能性が示された。ヒト副腎皮質細胞H295Rを用い、テストステロンによるアルドステロン産生の調節と、カノーラ油が及ぼす影響を現在検討中である。本研究に於いては、カノーラ油の毒性標的が明確になったこと、性差の確認ができたこと、そして、新たに、精巣(生殖器)と副腎の間のホルモン産生調節に注目した機序解明が必要なことが明確に示された。中枢の関与も含めて、今後の検討課題としたい。
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