健康に過ごすには規則正しい食生活が重要だとよくいわれる。しかし,深夜の食事,欠食といった不規則な生活を避けて規則正しい食生活を送ることは現代生活では必ずしも簡単ではない。不規則な食生活が我々の健康に本当に影響を及ぼすのか,及ぼすとしたらどのように影響を及ぼすのかについては未解明の部分が多い。また,ダイエットを繰り返し試みると(そして,失敗すると),ダイエット試行以前より体重が増加してしまうといういわゆる「リバウンド」現象に関しても,本当にそのような現象が存在するのか明確には示されていない。そこで,不規則的な食生活が生体にどのような影響を与えるのかを明らかにするため,多細胞生物のモデルであるC. elegansに繰り返し絶食を施し,その影響を検討した。 十分に餌を与えて成長したC. elegansに対して,(6hr絶食-18hr給餌)という絶食プロトコールを導入した。このプロトコールを2回続けて導入することで繰り返し絶食のモデルとした。この絶食プロトコールを経験したC. elegansの脂肪蓄積量を,脂質結合性色素を用いた蛍光法と生化学的手法で解析したところ,繰り返し絶食を経験した線虫で有意に脂肪量が増加していることがわかった。また,脂肪合成関連遺伝子群と脂肪分解遺伝子群の発現をRT-PCRで解析したところ,脂肪蓄積を促す発現パターンを示していることがわかった。一方,寿命,運動能力,生殖能力については明確な影響は認められなかった。
|