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2014 年度 実施状況報告書

伝統食の生理機能顕在化とヒトにおける長期的な機能評価法確立のための基盤研究

研究課題

研究課題/領域番号 26350145
研究機関信州大学

研究代表者

横山 忠幸  信州大学, 医学部, 特任准教授 (90592155)

研究分担者 河合 佳子  信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (10362112)
前島 大輔  信州大学, 医学部, 特任講師 (20715130)
安嶋 久美子  信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (70584051)
大橋 俊夫  信州大学, 医学部, 特任教授 (80020832)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード食品機能 / 評価システム / 老化制御
研究実績の概要

食品の機能性と安全性は人類の歴史そのものであり、その歴史の中で人類が生体実験を行ってきたと言っても過言ではない。本研究は、日本最古の医学書である「医心方」等の食に関する歴史書に記載された食品や伝統食材などを収集し、機能性評価を行い、得られたエビデンスを活用した機能性食品の開発を目的としている。さらに従来のRCT(ランダム化比較試験)に比べ、食品機能の特異性を考慮した時間軸による健康度解析と疫学的評価を導入した新たな食品機能評価法を開発することを目指している。
初年度は計画に基づき、国内外の機能性伝統食材の情報収集とライブラリの作製に取り組んだ。具体的には甲信越地域で商業的に栽培されているヤマブドウの収集、新潟県の日本酒製造に使われる麹菌、醸造メーカーが開発した乳酸菌発酵酒かす、世界最大の産地でもあり現地では日常的に食されているニュージーランド産のボイセンベリーを検討食材として収集し、サンプル保存しライブラリ化した。
このうち、ボイセンベリーについては、種子抽出物を調製しマウス投与実験を実施したところ、摂取群で血中アラキドン酸濃度の有意な低下、炎症性誘導タンパク質の発現抑制が見られた。マクロファージ系培養細胞を用いた実験からは、ポリフェノール成分のうちプロシアニジンに有効性が認められた。これらの予備的実験結果から、ボイセンベリーポリフェノールに炎症反応の抑制効果が示唆された。細胞老化は炎症反応の蓄積が原因の1つとなり得るため、プロシアニジンに炎症抑制・老化制御素材としての利用可能性を見つけることができた。
また、ヤマブドウについては生育時期別にサンプルを収集し、含有するポリフェノールの特性について分析調査を行ったところ、重合度の低いものだけではなく、10量体以上のポリマーも含まれることに特徴があることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は伝統食材に関する調査およびライブラリの作製を計画としており、国内外のサンプルを収集を完了した。そのうち一部の素材については動物実験による機能性評価までを実施でき、有効性の確認ができたものもある。このことから、現在までの達成度としては、おおむね順調と考えている。
さらに本研究を進めるために、ライブラリ化した素材を使って有効性を検証するためのスクリーニング試験を計画しており、次年度の課題としたい。スクリーニング試験実施の準備は順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

初年度で得た素材を用いて、必要に応じた適切な処理(均質化、濃縮、精製など)を行い、in vitroスクリーニング試験や実験動物を用いた機能性評価を実施する。特に生活習慣病を未然に防ぐ効果や免疫機能の賦活効果に着目し、未病や予防医療につながる機能のある食材の調査に注力する。マクロファージ系培養細胞を使った遊走能阻害試験や発現タンパクの解析による炎症・老化抑制機能の評価によって一定の生理機能が見出されたサンプルについて、ヒト試験への展開あるいは用量設定のための動物実験を行う。動物実験では抗老化、免疫系などに特化した試験を計画し、食材あるいは抽出成分の用量と有効性についての検証を行う。

次年度使用額が生じた理由

主に物品費として今年度の経費を支出した。また、図書購入のため「その他」の費目で経費を支出させていただいた。当初計画で見込んだ価格よりも安価な物品費で研究が遂行できたため、未使用額1,923円が生じた。

次年度使用額の使用計画

次年度使用額は平成27年度請求額とあわせて、in vitro実験あるいは動物実験で必要な消耗品の購入に充てる予定である。具体的な消耗品としては、動物実験用チューブ、注射針、生理食塩水、シャーレ、ピペットチップなどである。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Proposed new lymphology combined with lymphatic physiology, innate immunology, and oncology.2015

    • 著者名/発表者名
      Ohhashi T, Kawai Y
    • 雑誌名

      J Physiol Sci

      巻: 65 ページ: 51-66

    • DOI

      10.1007/s12576-014-0343-6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Effects of acute and chronic boysenberry intake on blood pressure and endothelial function in spontaneous hypertensive rats.2014

    • 著者名/発表者名
      Matsushima A, Furuuchi R, Yokoyama T et al.
    • 雑誌名

      J Nutr Sci Vitaminol.

      巻: 60 ページ: 43-51

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 循環器病学・免疫学・腫瘍学を連結した新しいリンパ学2014

    • 著者名/発表者名
      大橋俊夫、河合佳子
    • 雑誌名

      Skin Cancer

      巻: 29 ページ: 137-139

    • 査読あり
  • [学会発表] Evaluation of in vitro vasorelaxant activity of proanthocyanidins in boysenberry2014

    • 著者名/発表者名
      Furuuchi R, Maejima D, Yokoyama T, Nishida H, Hirayama M
    • 学会等名
      International Conference on Food for Health in Niigata 2014
    • 発表場所
      朱鷺メッセ(新潟市)
    • 年月日
      2014-10-30
  • [学会発表] 腸管リンパの特性と医食農の連携-腸管免疫と腸リンパに及ぼす食物の影響について-2014

    • 著者名/発表者名
      大橋俊夫
    • 学会等名
      第4回Tie2フォーラム研究会
    • 発表場所
      八芳園(東京都港区)
    • 年月日
      2014-10-17
    • 招待講演
  • [学会発表] in vitro血管弛緩作用におけるボイセンベリープロアントシアニジン中の主要活性成分の同定2014

    • 著者名/発表者名
      古内亮、松嶋全人、横山忠幸、西田浩志、平山匡男
    • 学会等名
      第68回 日本栄養・食糧学会大会
    • 発表場所
      酪農学園大学(江別市)
    • 年月日
      2014-05-31
  • [図書] 腸のリンパを流せば、病気が逃げ出す2014

    • 著者名/発表者名
      大橋俊夫
    • 総ページ数
      190
    • 出版者
      PHP研究所

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公開日: 2016-05-27  

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