研究課題/領域番号 |
26350147
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
仁瓶 善郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (00189341)
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研究分担者 |
木本 万里 日本女子大学, 家政学部, 教授 (60101565)
戸田 一雄 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (80134708)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 香辛料 / 香気成分 / 消化管運動 / 食欲 / 性差 / 山椒 / ラット |
研究実績の概要 |
香辛料の生体に与える効果として有効なものに食欲の増進がある。香辛料は摂取することによる口腔から小腸にいたる直接的な効果と最近注目されている香辛料の香気成分による嗅覚系を介した効果がある。本研究課題ではH26年度に続いて香辛料(唐辛子、生姜、山葵、山椒、胡椒)の香気成分が腸管運動に対して有効な変調作用を有するか、また、これらの香辛料の種類で効果が差があるか、性差は見られるかを解析した。 H26年度はWistar系アルビノラット♂を用いて解析を行ったが、引き続きH27年度は♀を用いて山椒の香気成分に対して小腸運動がどのような変調を受けるか解析した。山椒の香気成分の吸引(実験室内で注射筒からの噴出による強制吸気)前後で顕著な自発的平滑筋運動の変化(消化管運動のリズムおよび平滑筋収縮の大きさ)は見られなかった。この点に関して性差は見られなかった。次に、電気刺激装置を用いて5Hz, 5V, 5sの通電刺激を与えると、吸引前の対照に比べて吸引中および吸引後3分間の平滑筋収縮運動の振幅が増大した。この増大の大きさは♂より♀において顕著な傾向が見られた(統計解析はは未処理)。すなわち、外部刺激によって誘発される平滑筋収縮には性差が見られる可能性が示唆された。 現在までのデータから、香辛料の香気成分が嗅覚系の賦活により消化管運動を変調させうることが示唆され、その変調効果には性差がみられることが観察された。山椒では、♀においての効果のほうが顕著である傾向があったが、次年度以降他の香辛料の効果も解析することによって、研究を発展させる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H27年度はH26年度で実行できなかった性差について解析することができた。データの一部はEuropean brain and behavioral sciencesの定例学会(Verona, Italy, September 12-15, 2015)で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、できる限り多くの種類の香辛料についてそれらの香気成分と消化管運動の偏重について解析する。重点的に実験を行う香辛料としては生姜を予定している。性差についても解析する。小腸に加えて大腸の消化管運動についても解析予定である。主な実験場所としては、研究分担者(木本)が在籍する日本女子大学家政学部生理学研究室を利用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年度は香辛料購入の費用が低額で済んだ。また、実験場所を主として研究分担者の所属先である日本女子大学で行ったため、ラットの飼育費用、光熱費、餌費用を節約できた。したがって分担者への配分金に残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度はH27年度と同様に日本女子大学で実験を行う予定である。したがって動物関連の費用は節約できると思われる。論文投稿料、英語校閲料、国際学会発表あるいは資料収集等に経費を支出する予定である。
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