香辛料には摂取することによる消化器系に対する直接的な作用と嗅覚系を介した香気成分の作用とがある。過去の研究で香気成分が消化管運動に対する効果は解析されていない。そこで、香辛料の香気成分吸入中に回腸と大腸平滑筋がどのような運動の変調を引き起こすかラットで検討した。自発性腸管運動(回腸と大腸とも)に対して、すべての香辛料で有意な変調効果は見られなかった。電気刺激に誘発される回腸平滑筋の収縮は山椒において振幅の増大が見られた。他の香辛料(生姜、山葵)については、回腸および大腸平滑筋収縮に対して有意な変調効果は見られなかった。また、効果に性差が見られ、オスに比べてメスで増大効果が大きかった。
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